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生命・財産を守るため家の中に「蔵」を

アサノ不燃、生活したまま施工が可能な耐震耐火シェルターを提案
 地震、火災に備えて家の中に「蔵」を建てる-。アサノ不燃(東京都江東区、浅野成昭社長、03・6666・0315)は不燃木材で構築する耐震耐火シェルター「グラセーフ」の普及に動きだした。木の香りもする6畳間想定の木質空間でありながらマグニチュード7~9の大地震に耐え、1時間耐火性能も確保している。既存住宅で生活を続けたまま設置できるのも特徴だ。木造密集地域での大規模火災延焼防止への貢献のほか、不測の災害から家族の生命や財産を守るこの新しい住宅設備を普及させようと、地域の工務店や建設会社などを対象に取扱事業者の募集を始めた。

 アサノ不燃は木材を中核に不燃素材製品群を販売している。自社で開発、特許を取得したホウ素系薬剤「セルフネン」で処理した木材は火災の熱が加わると水分を取り入れ自己消火機能を発揮、さらに不燃成分が溶け木材表面をガラス質で覆うことで木材表面の酸素との接触を妨げる。これにより耐火性能の実現とともに、実際の火災現場で問題になる煙や有害ガスを抑制する。

 グラセーフはセルフネン技術を用いた50ミリメートル厚の国産スギ材の積層材(LVL)を外部に配して、54ミリメートル厚のスギ構造用合板、50ミリメートル厚の不燃処理した発泡スチロール、15ミリメートル厚のスギ合板の4層の構造壁を持つ。この構造壁で6面を囲うことで「燃えない」「壊れない」という木質空間を生み出す。

 ISO基準での1時間1、000℃の加熱試験で、室内温度は4℃上昇にとどまった。また公的研究機関における三次元大型振動台にグラセーフを載せ実際の地震波を再現した地震動再現実験でも、マグニチュード7~9クラスの地震にも耐えることを確認している。
セルフネンで処理した不燃木材細胞

生活したまま施工が可能



 設置工事は既存住宅の一階の床を撤去し、耐震ゴムの上に設置する。住宅自体の強度に影響せず、住民が生活したまま施工できる。不燃処理の効果で防腐、防かび、防蟻の性能も持つ。非常用電源、給排気設備、照明のほか簡易トイレなども設けられる。東日本大震災、熊本地震の際、余震を恐れて自動車の中で生活し体調を崩した被災者が多く出たが、グラセーフがあればそこで生活できる。一方で、電子ロック扉を設置すれば火災時などに財産類を保管したまま一時避難できる。災害のケースごとにさまざまな利用法が想定される。住宅環境などに応じてセミオーダーで対応、オプション設定も幅広い。6畳間想定の参考価格は250万円(運搬、組立、内装、設置工事費など別)。

 グラセーフは東京都中小企業振興公社による先進的防災技術実用化支援事業の助成対象として採択され、普及促進の段階に入った。アサノ不燃は全国で20-30社の協力会社を募集する方針だ。実際に木造密集地域の課題解消のためや防災シェルターが必要な生活者にグラセーフを提案し、施工する事業者を集めていく。

 アサノ不燃は不燃木材を製造後、全量検査を実施。そのための検査装置を自社開発するなど品質管理を徹底している。グラセーフの普及でも、こうしたユーザーや社会から信頼される姿勢を維持する考えで、同様の考えを持つ事業者を選定していくという。

間伐材利用で「山」を守る



 そもそもセルフネン不燃木材は、アサノ不燃の浅野成昭社長の強い思いが生み出した製品。福井県育ちの浅野社長は山や川の大切さを感じながら育った。日本の山を守るには間伐材の利用促進が不可欠と考え、間伐材の価値向上を目指してきた。また、セルフネン不燃木材は使用後、薬剤と木質材料に分離、リサイクルできる。森林資源を付加価値の高いものとし、さらにリサイクルで再資源化していく好循環が生み出させる。「人の生命と財産を守る材料の利用が、山を守っていくことにもつながる」。

 また、各地域で「まちの大工さん」ともいえる地域の工務店は、新築着工数の減少や住宅スタイルの変化から厳しい環境におかれている。大工技能の伝承の面からも、グラセーフ普及で大工が活躍できる場を増やしたいとの考えもある。これらの理念も伝えながら、グラセーフの普及を進めていく。

 5月31日から6月3日までの4日間、東京ビッグサイトにて「東京国際消防防災展2018」が開催される。アサノ不燃が会員の都市防災不燃化協会ブース(ブース番号:6-72)に社員が常駐して「グラセーフ」のパンフレット等を配布予定。詳細は下記リンクから
「東京国際消防防災展2018」


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アサノ不燃へのお問い合わせはこちらから
http://funen.jp/wp/contact/

【株式会社アサノ不燃】
本社住所:135-0016 東京都江東区東陽5‐28‐6 TSビル5F
TEL:03‐6666‐0315  E-mail:asano-info@funen.jp
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日刊工業新聞記者
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