福岡ソフトバンクホークスはなぜ集客力が高いのか

仕掛け人、吉武隆取締役に聞く

 熱戦を繰り広げるプロ野球。2017年シーズン覇者で今年球団創設80周年を迎えたのが福岡ソフトバンクホークス(福岡市中央区、後藤芳光社長、092・847・1006)だ。17年ホームゲームの平均観客入場数はパリーグ球団で唯一3万人を超える。人気を支えるホーム球場の運営についてマーケティング戦略を担当する吉武隆取締役に聞いた。

 ―15年からサービス向上プロジェクトに取り組んでいます。
 「ホークスの野球はファンをいかに大切にするか。その上で野球を核とするエンターテインメント施設を目指している。お客さんとじかに触れ合う会場運営者はディズニーランドで研修を受け、従業員やテナントを含めた全メンバーが笑顔でお客さまに接する。優秀なスタッフは表彰してモチベーションを高め、球団で働く一体感を養う」

 ―野球への関心が低い人に足を運んでもらうための仕掛けは。
 「基本はコアな層に新しいファンを連れてきてもらうこと。そのため照明での光のショーや花火など野球ファン以外でも楽しめるイベントを実施する。年間約70のホームゲームのうち約50試合は『○○デー』と銘打った取り組みがある」

 「一番の特徴は徹底的に細部にこだわることだ。例えば女性ファンを対象とした『タカガール♡デー』。ユニホームデザインに投票してもらい、電光掲示板の表示もピンクに統一。食事のメニューにもピンク色を使う。今では来場者の半分以上を女性が占める」

 ―リース契約だった本拠地のドームを12年に買い取りました。サービスなど経営の自由度が変化しましたか。
 「よく言われるがそうでもない。広告看板や飲食での収入は以前からあった。基本は原状で返却すればよく、従来自由度は高かった。ただ、単純に考えれば年間約50億円程度の家賃が軽減され、利益が出やすくなる。その分を設備投資やイベント、選手育成に回せる」

 ―次世代型複合エンターテインメント空間の創出を目指しています。
 「施設を改修して4万人以上を収容可能にする増席や今以上の圧倒的な迫力のビジョンで映像をお届けしたい。新しいテクノロジーを入れつつ過去に経験のない観戦空間を作る。また福岡には海外から多くの旅行者が訪れるが夜に遊べる場所が不足している。ドームは毎日使っているわけではない。プロジェクションマッピングなど海外客向けのショーも考えていきたい」
福岡ソフトバンクホークス取締役・吉武隆氏

日刊工業新聞2018年4月27日

日刊工業新聞 記者

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04月27日
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本拠地のドームは野球場というより野球を核としたテーマパークを感じさせる。サービス向上プロジェクトの行動基準の一つは、もう一つのサービスを提供するという意味の「Plus One」。球団運営に携わる全ての“キャスト”の振る舞いが顧客満足度を高め、リピートにつなげている。
(日刊工業新聞社西部支社・増重直樹)

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