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国産レモン消費量増加。安定供給・品質向上の切り札はAIにあり

サッポロHD、レモン生産にICT導入へ
国産レモン消費量増加。安定供給・品質向上の切り札はAIにあり

広島県のレモン栽培。急斜面地で行われることが多い

 サッポロホールディングス(HD)は、ルートレック・ネットワークス(川崎市麻生区)と共同で、国産レモンの生産性向上に向けた取り組みを広島県大崎上島町で近く始める。これまで農業者の経験に基づいて行われてきたレモン生産に情報通信技術(ICT)を取り入れ、農業活動を数値化することで栽培効率化とレモン果実の品質向上を目指す。ICT導入により、レモンの安定的供給を図る。

 サッポロはグループ会社の「ポッカレモン」「キレートレモン」などの商品でレモンと関係が深い。国産レモンの生産量は約1万トンで、うち6割が広島県内で生産される。近年は消費量が伸びており、安定確保が大きな課題になっている。

 レモン生産は十分な日射量を確保するため山あいの急斜面地で行われることが多い。農家の高齢化が進む中、生産量拡大ができていない現状がある。

 サッポロのICT導入では、面積10アールのレモン畑にルートレック製の人工知能(AI)灌水施肥システムを設置。センサー情報からクラウド内で最適な灌水・施肥量を割り出す。急斜面を上り下りする危険作業を減らせるほか、適切タイミングでの水やりや施肥により、レモン収穫量の増大や品質向上効果が期待できる。効果が大きければ一般のレモン畑にも拡大する計画。

 サッポロはグループ会社を通じて広島県や大崎上島町、JA広島ゆたかと提携関係にあるほか、ワイン用ブドウ畑でICTの活用を進めている。
日刊工業新聞2018年3月20日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
農業分野へのICT導入事例が拡大しています。ブドウやレモンなど、生産数量がいままでは少なかったけれども付加価値が高い作物に向いているのかもしれません。

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