Apple HomePod、音声アシスタントは「地域・買い物」に強み

全体の正答率ではグーグルやアマゾンに軍配、名物アナリストがテスト

 2月9日に米国や英国など一部の英語圏で発売になったアップルのスマートスピーカー「ホームポッド」。その人気を裏付けるように、ウェブ上ではライバル製品と比較したレビュー記事が賑わいを見せている。そこに新たに加わったのが、アップル製品の予測レポートで定評のあった元パイパー・ジェフリーの名物アナリスト、ジーン・ミュンスター氏。彼が手がけたホームポッドのテストによると――。

 「音声アシスタントで競合するアレクサやグーグルホームには劣るが、スピーカーとしては信じられないほど素晴らしい音を出す。音楽に焦点を絞り込んでいるにしても、バージョン1のスマートスピーカーとしては期待を上回る出来だ」

 ミュンスター氏がマネージングパートナーを務めるループ・ベンチャーズ(Loup Ventures)は9日にホームポッドに対するテストを実施し、10日に内容を公開した。

 それによれば、合計782の音声での質問に対し、ホームポッドの音声アシスタント「シリ」が99.4%に回答。ただ、質問に対する正しい答えの割合は52.3%だった。これは競合するグーグルの「グーグルホーム」(81%)やアマゾン「エコー」のアレクサ(64%)、マイクロソフト「コルタナ」(57%)の正答率を下回る。

 うち、シリが強みを見せたのが、近くのコーヒーショップや新しい靴を買うといった、「地域」「買い物」関連の質問。この二つの分野ではグーグルをわずかに下回るものの、アレクサやコルタナより正しい答えを返す割合が高かったという。

 また、うるさい環境であってもノイズキャンセリング機能が働いて、通常の大きさの声を聞き取ってくれる。ミュンスター氏はこれを「ホームポッドの最も優れた機能」だとした。

 ホームポッドは、競合他社のスマートスピーカーと異なり、ナビゲーションやカレンダー、メール、電話といった機能はサポートしていない。このため、「ホームポッドではお答えできません」といった回答を返してくる。これらサポート外の機能を除いた質問に対する正答率は67%で、単純比較ではアレクサやコルタナの総合成績を上回っている。

 そのほか、Wi-Fiのセットアップが簡単であることや、シリの音声はiPhoneのそれよりもスムーズでより人間らしく聞こえること、グーグルホームやアレクサのように質問を繰り返さず、反応が人間に近いことなどを長所に挙げた。

 一方で、消費者への聞き取り調査や価格が近いアップルウオッチ(475ドル)の売れ行きなどを参考に、ホームポッドの販売予測も披露。2018年には700万台を販売し、スマートスピーカーで12%の世界シェアを獲得。アレクサの52%、グーグルホームの32%に続くとした。

 続いて19年には1090万台を販売し、22年には現在の米国内での349ドルという価格から149ドルに値段を下げつつ、グーグルホーム48%、アレクサ37%に次ぐ12%のシェアを維持するとみている。
                   

質問に対する各製品の分野別の正答率。スマートスピーカーは左から「グーグルホーム」、アマゾン「エコー」、ハーマン・カードン「インボーク」、アップル「ホームポッド」(ループ・ベンチャーズの資料から)

2018年2月11日付日刊工業新聞電子版
Loup Venturesのレポート

藤元 正

藤元 正
02月11日
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ホームポッドの開発はなんと6年がかり。つまりスピーカーとしてのハード開発に、それだけの期間を費やしたというわけだ。1個のサブウーファーと7個のツイーターを持つホームポッドは、反響音から部屋の中での自らの位置を把握し、部屋に合わせてツイーターで音や音の出る方向を調整する「ビームフォーミング」という機能を持つ。こうして部屋の反響で生じる余計な音を消し去りながら、低音が効いたクリアな音の再生を狙っている。つまり「スピーカーを再発明」しようと試みたわけなのだが、音楽のサポート役程度でしかないシリがスマートスピーカーの文脈で語られた途端、その機能の貧弱さが露呈する結果となった。むしろホームポッドを音楽用として普及させたいなら、自前のアップルミュージックに固執することなく、Spotifyはじめ他の音楽配信サービスに対応させる選択肢もある。熱心なアップルファンは競って買ってくれるかもしれないが、アップルが自前主義にこだわる限り、ビジネスとしての中途半端さはぬぐいきれない。

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