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テスラキラーになれるか、米フィスカーがCESで640km走れる高級EVセダン公開

レベル4の自動運転機能も搭載、来年後半に出荷予定
テスラキラーになれるか、米フィスカーがCESで640km走れる高級EVセダン公開

フィスカーの「EMotion」(同社のサイトから)

 自動車ベンチャーの米フィスカー(ロサンゼルス)は、400マイル(約640キロメートル)以上の航続距離を持つ電気自動車(EV)「EMotion(エモーション)」を米ラスベガスで開催中の「CES2018」で披露した。レベル4の自動運転機能を備えるほか、乗り降りしやすいよう、前後のドアが左右に跳ね上がる業界初の「バタフライ・ドア」も採用したユニークなデザイン。高級EVセダンでテスラのお株を奪うことができるかどうか。

 EMotionは全輪駆動で最高速度が時速161マイル(時速約257キロメートル)。止まった状態から時速60マイルまで3秒未満で加速できるという。

 バタフライ・ドアはドアハンドル部分のセンサーに触れるだけで開閉し、運転者のスマートフォンからも操作可能。自動運転用のセンサーとして使われる光レーザースキャナー(ライダー)には米クアナジー・システムズ製を採用し、超音波センサーとカメラも搭載する。価格は12万9000ドルで、2019年後半の出荷予定。予約金2000ドルで事前予約も行っている。

 現状ではリチウムイオン二次電池を搭載しているが、同社は全固体電池の開発にも乗り出している。ただ、19年の出荷には間に合わないもようだ。

 自動車デザイナーでもある同社CEOのヘンリック・フィスカー氏は、テスラ時代に「モデルS」の初期設計に携わったこともある。それだけに打倒テスラの思いはことのほか強いようだ。

 07年に立ち上げた米フィスカー・オートモーティブでは、曲線美のエレガントなデザインのプラグインハイブリッド車(PHEV)「フィスカー・カルマ」を開発。一躍脚光を浴びたものの、バッテリーの不具合で度重なるリコールを余儀なくされ、13年11月に倒産。旧フィスカー・オートモーティブは中国最大の自動車部品メーカー、万向集団に買収された。「フィスカー」の自動車ブランドはフィスカー氏が継承し、16年に現フィスカーを設立した。
2018年1月10日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
組み立て工場と全固体電池工場の新設計画もあるようだが、電池の製造まで手掛けようとするところがテスラと似ている。ただ、全固体電池にこだわるのはその性能ばかりでなく、かつて旧A123から供給を受けていたリチウムイオン蓄電池での発火事故がトラウマになっているのかもしれない。

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