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西武も2016年に観光列車を導入!秩父や川越へ食事を楽しみながら

車内には演奏会や映画上映、結婚式などを開くスペースも
 西武ホールディングス(HD)は傘下の西武鉄道で全席レストラン車両となる観光列車の運行を2016年春に始める。

 車両は4両1編成の4000形をベースにリメーク。外観、内装のデザインは建築家の隈研吾氏が手がけ、沿線の代表的観光地である秩父をモチーフに、外観は荒川の水の流れを表現。内装の一部に沿線の伝統工芸品や地場の木材を使用する。3両目にはオープンキッチンスペースを設けるなど、全席で食事をしながら列車の旅を楽しめる。

 運行区間は池袋―西武秩父間や西武新宿―本川越間で、臨時列車として休日を中心に年間100日程度運行する。車内には演奏会や映画上映会、結婚式や披露宴なども開催できるスペースを備え、貸し切り運行などにも対応する。

 <関連記事=2014年10月13日付>

デザイナー起用の観光列車、全国で続々誕生。旅の楽しさも演出!


 全国でユニークなコンセプトや豪華さを訴求した観光列車の運行が始まる。人気も上々で新たな鉄道ビジネスとして注目される。安倍晋三政権が成長戦略改定版で重視する「地方創生」への貢献も期待されている。この観光列車で重要になるのがデザインだ。JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」を手がけた水戸岡鋭治氏には全国の鉄道会社からの依頼が相次ぎ、フェラーリなどのデザイナーとして知られる奥山清行氏もJR東日本が2017年に導入する列車を手がける。JR西日本も独自にデザイナーを採用した。外観だけでなく、旅の楽しさを演出するデザインを競い合う。

 水戸岡氏はJR九州の新幹線や観光列車の車両開発を手がけ、その独特のデザインで、鉄道車両のデザイナーとして注目されてきた。ななつ星のヒットで、全国の鉄道会社に「水戸岡デザイン」を採用する動きが広がっている。その勢いは列車だけにとどまらず、4月には鹿児島県の薩摩川内市が、川内港と甑島(こしきしま)を結ぶ「高速船甑島」のデザインを水戸岡氏に依頼した。

 薩摩川内市は風光明媚(めいび)な離島の「甑島」を観光地として活性化させるため、13億6500万円を投じて、高速船甑島を新造。それまで、本土と甑島を結ぶ高速船は隣のいちき串木野市から出ていたが、川内港に移し、待合所などがある川内港ターミナルも2億4200万円をかけ、水戸岡氏のデザインで改装した。

 川内港ターミナルには、木のボールが詰められたプールがあり、子どもが遊べる。同様のプールは、JR九州の熊本―宮地間を結ぶ観光列車「あそぼーい!」にも設置しており、こうした遊び心は水戸岡デザインならではの共通点だ。

 薩摩川内市の取り組みは、JR川内駅から川内港へのシャトルバスも、水戸岡氏デザインで新造する徹底ぶり。シャトルバスには1億円を投じた。駅から甑島までのルートを水戸岡デザインの交通機関で統一する一連の流れを作り、「甑島観光ライン」として打ち出している。川内駅には水戸岡氏がデザインする観光列車「はやとの風」が停車することから、川内駅までのアクセスも水戸岡デザインで統一できる。JR九州でも甑島のPRに力を入れている。

 薩摩川内市は、港湾の整備なども含め、総額30億円を投じる力の入れよう。高速船は水戸岡氏のデザインで趣向を凝らした内装となったため、定員が300人から200人に減ったものの、乗船者数は前年比で22%増となるなど、薩摩川内市の取り組みが奏功している。

日刊工業新聞2015年06月17日 建設・エネルギー・生活面
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
全国で観光列車の導入が相次ぐ中で、西武も2016年にレストラン列車を走らせると発表しました。秩父や川越など人気の観光地へ、列車で食事を楽しみながら行けるようになりますね。

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