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ドローンで助けを求める声を検知、空撮画像と合わせ分析

NTT―ATシステムズとアイ・ロボティクス、災害救助支援システム共同開発
ドローンで助けを求める声を検知、空撮画像と合わせ分析

技術実証を行うアイ・ロボティクスのテストフィールド(茨城県河内町)

 NTT―ATシステムズ(東京都武蔵野市、清野浩一社長、0422・50・1078)とアイ・ロボティクス(同新宿区、安藤嘉康社長、03・4405・5041)は、飛行ロボット(ドローン)を活用した災害救助支援システムの共同研究を始めた。助けを求める声を検知するマイクを機体に搭載。騒音下でも音声を収集し、空撮画像と合わせて情報を分析できるようにする。2018年度の実用化を目指す。

 茨城県河内町で検証する。実証現場の山肌から上空50―100メートルを飛行し、ドローン搭載型マイクからデータを収集する。あわせてドローンのプロペラ音のノイズを消去する装置や、空撮画像を分析するソフトウエアを試作する。

 騒音下で音をクリアに検知する技術については、NTTが開発した音声技術「インテリジェントマイク」を候補に検証する。ドローンでの音声収集は、マイクと騒音の発生場所との距離が近く、これまでの使い方と異なるため、技術の有効性を確かめる。

 今回の取り組みにより、これまで人が立ち入るのが困難だった被災地域の状況を把握したり、空撮画像だけでは発見が難しかった被災者について音の情報を加えて調査したりできるようにする。

 内閣府は17年3月、地方公共団体向けに災害時支援体制に関する指針を発表。その中で大規模災害発生時に救助を待つ被災者の状況把握といった初動対応の重要性を指摘している。その手段として今回のシステムを活用できるとみており、将来は自治体などに提案していく考え。

 NTT―ATシステムズはネットワークサービスの構築や開発を手がける。アイ・ロボティクスはドローンを運用するためのシステム開発のほか、ドローンによる山岳遭難者の捜索も行っている。
日刊工業新聞2017年12月12日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
災害救助現場でドローンが使用されることが多くなってきています。画像だけでは把握しきれなかった情報をより鮮明に分析できるようになりそうです。

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