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今度は人間 vs AIドローン対決、世界トップのパイロットが勝ったものの...

自律飛行型はNASAが開発、グーグルの「タンゴ」技術活用
今度は人間 vs AIドローン対決、世界トップのパイロットが勝ったものの...

開発したAIドローン(NASA/JPL-Caltech)

 人間が勝つか、それとも人工知能(AI)か? 米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)の研究者が開発したAI搭載の自律飛行ドローンと、世界トップクラスのドローンパイロットによるタイムトライアル競技がこのほど行われ、プロパイロットのケン・ルー氏が辛くもAIに勝利した。

 この競技は米グーグルが資金援助する2年間の自律型ドローン研究プロジェクトの成果発表として実施した。JPLでは、複数のカメラを使って3次元空間のマッピングが行えるグーグルの「Tango(タンゴ)」技術を搭載した3機のドローンを開発。リアルタイムで空間内の自分の現在位置を特定しながら機体を制御し、設定ルート通りに飛行できる。

 競技では、直線飛行であれば毎時80マイル(129キロメートル)もの速度が出るドローンを使用。アーチや柱を交互に潜り抜けるコースを何度も周回して飛行時間を競ったところ、人間の操縦だと1周当たり平均11.1秒、AIドローンは同13.9秒で、人間のパイロットが競り勝った。

 ただ、人間の場合は回数を重ねるごとに心身ともに疲れが見られ、周回するたびに飛行コースが微妙に違ったのに対し、AIドローンは終始一貫して同じコースを飛び、ほぼ同じタイムを叩きだした。

 研究チームではこうしたGPSを使わないカメラベースのSLAM(同時位置決め地図作成)技術が将来、自律飛行ドローンによる倉庫内での在庫チェックや、災害地での被災者の探索・救助支援などに役立てられるとしている。

2017年12月9日付日刊工業新聞【電子版】
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
グーグル系のウェイモが手がける自動運転車のソフトウエアとTangoとで、どれだけ関連性があるのかはわからない。それでも、SLAMが自動運転を含めたモビリティや移動ロボット、ドローンなどの中核技術の一つになることは間違いないでしょう。

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