「リケジョ」の就職ミスマッチはなぜ多いのか?

ライフサイエンス系の採用少なく。JRIAが解消へ人材ナビ開発

 研究産業・産業技術振興協会(JRIA、東京都文京区、石原廣司会長)は、理系の女子学生(リケジョ)と企業とをつなぐマッチングシステム「リケジョナビ」を開発した。リケジョに多い化学・生物系の専門と、採用ニーズの高い電気・機械などの業種・職種間のミスマッチ解消を目指す。産業ニーズを知った学生が、就職活動より前にビッグデータ(大量データ)やプログラミングなどの科目を学ぶ動機付けになることも狙う。

 学生は23の専攻分野や学んだ科目の「履修履歴」をデータベース(DB)に登録。経済産業省やJRIAが開発した「社会人基礎力」「専攻分野ごとの基礎力・専門力」「イノベーション人材の資質」を評価する各機能を使い、自らの適性や学びの不足を把握する。

 一方の企業側は自社の職種のほか、大学の23の専攻分野ごとに、どのような能力や科目履修の人材を欲しているかをDBに登録する。さらに個人を特定せずに双方をマッチングさせることにより、就活学生の応募と採用を後押しする。

 低学年の学生なら、進路を広げるために必修以外の科目を学ぶ動機が生まれることが期待できる。博士研究員(ポスドク)が専門分野外の就職を検討する際にも活用できる。

 料金は1企業年数十万円程度と、民間の就活サイトの10分の1ほど。地域の中堅企業も活用しやすい。30日に企業登録を始め、学生登録とマッチングは2018年3月に開始する。18年度からは「理工系人材ナビ」として対象を男性にも広げる計画だ。

 システムは、経産省と文部科学省が16年にまとめた「理工系人材育成に関する産学官行動計画」を受けて、開発した。ミスマッチが理系男性より目立つリケジョを当初の対象に、経産省の補助で取り組んだ。
                   

日刊工業新聞2017年11月30日

山本 佳世子

山本 佳世子
12月01日
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 「学術の研究と教育」が伝統的な大学の使命とされてきた。教員においてはまだ、その意識がぬぐいさられてはいない。これが、企業の人材ニーズと大学の人材育成のずれの主要因ではないか。「それではだめだ、産業をはじめとする社会で活躍する人材を、大学でしっかり育成してほしい」という観点は、実は最近のものなのだろう。理系においてとくに感じるのが、ライフサイエンス系の専攻だ。卒業学生数に応じた大企業の採用はなく、就活に苦戦する。博士人材に加え、理系女性でもこのライフ系の問題が大きいことはあまり知られていない。今回のリケジョナビは学生に、「大学が示すカリキュラム通りの勉学だけでなく、社会の動きを見据えたうえでの積極的な学びを」と呼びかけている。

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