神鋼データ改ざん、日本の工業技術への信頼が失われる

久保利弁護士に聞く「行政が少しなめられている」

 神戸製鋼所によるアルミニウム、銅製品の検査データ改ざん問題が波紋を広げている。対象となる製品が納入された業界は自動車、鉄道、重工業と幅広く、製品・用途によっては大規模な対応が必要となりそうだ。こうしたメーカーが神戸製鋼所に賠償を求める可能性もあり、経営への影響が懸念される。頻発する企業不祥事について、日比谷パーク法律事務所代表弁護士の久保利英明氏に聞いた。

イメージ固定化が最も恐ろしい


 コンプライアンスの概念を誤解しているのではないか。法令を順守していればコンプライアンス違反ではないと理解しているとすればとんでもない話だ。法令違反がなかったとしても、顧客が求める水準に満たない物を出荷した。顧客の信頼を裏切った先には新幹線や自動車などを利用する消費者がいる。絶対に法令違反より軽いと考えてはいけない。

 東洋ゴム工業やタカタなどによる(不祥事)問題しかり、日本の工業技術への信頼が失われると危惧せざるを得ない。今回、神戸製鋼所では管理職を含めて数十人が関与し、10年以上前から続いていたという。組織ぐるみで会社の体質や企業風土まで問題にせざるを得ない。

 納期さえ間に合えば基準に満たない製品でも良いという顧客は一人もいないはず。契約を考えれば許されないことくらい小学生でも分かる。

 データ偽装はすべて、近視眼のご都合主義だ。隠蔽(いんぺい)してその場をしのいだとしても顧客に多大な損害を与え、結果的に自社に最悪の事態を招く。

 3連休中という発表のタイミングからも小さく収めようという姿勢が見えてしまう。また、契約違反とは言わず、不適切行為、不適切製品としている。

 契約違反なら法にも問われる。刑事事件になるかは別だが、少なくとも損害賠償を請求しなければならない民法上の不法行為。それ以上に「信用できない会社」というイメージが固定化されることが最も恐ろしいことだ。

 どこの法律事務所に調査を依頼したのかなどを含め、洗いざらいオープンにするべきだ。報告書が出るまでは何も言えないというのは逃げで、先延ばし。第三者委員会を設置し、10年前にさかのぼって原因を検証し、報告書を出した方が良い。

 三菱自動車の燃費データ不正問題もそうだったが、行政が少しなめられている。規制緩和という言葉の聞こえは良いが、自由にするほどインチキするのであれば、もう少し監督機能を強化しなければならない。

日刊工業新聞2017年10月11日の記事から一部抜粋

明 豊

明 豊
10月11日
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個人的に久保利さんがいう「日本の工業技術への信頼が失われる」という言葉に激しく同意する。

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