理研が記憶操作でうつを改善。楽しい体験残る脳神経部位を光刺激で呼び覚ます!

米MITと共同研究で。「生体を傷つけない脳の刺激法が開発されれば、うつ病治療にも」(利根川進氏)

  • 0
  • 1
 理化学研究所脳科学総合研究センターの利根川進センター長らは、マウスの記憶を操作し、うつ状態を改善させることに成功した。特定の神経細胞を光照射で刺激し、活発に働かせる手法を利用した。「何をしても楽しくなく無気力」といったヒトのうつ病に似た症状を示すマウスに対し、過去の楽しい記憶がある脳の部位を人工的に活性化することでうつが改善することを明らかにした。
 
 米マサチューセッツ工科大学との共同研究。成果は18日、英科学誌ネイチャーに掲載される。光照射で神経細胞を活性化できるたんぱく質「チャネルロドプシン2(ChR2)」を、楽しい経験をした際に活動する脳の神経細胞だけに作らせる技術を利用。またマウスの頭に穴をあけ、光ファイバーを通し脳に光照射できるようにした。

 楽しい経験として、オスのマウスをメスのマウスと1時間一緒に過ごさせた。その時に活動したオスのマウスの脳の神経細胞にはChR2が発現する。その後、オスのマウスを樹脂製フィルムで固定するというストレスを毎日40分間、計10日間与え続けた。すると「しっぽを持って吊り下げる」という嫌な刺激に対し、通常のマウスに比べ抵抗する時間が短く、早く抵抗を諦めることが分かった。

 このうつ状態のマウスにおいて、楽しい体験の記憶を持つ神経細胞を青色光で刺激し神経細胞を人工的に活性化させた。しっぽの吊り下げ実験で抵抗する時間が普通のマウスと同程度まで戻ることを示した。利根川センター長は「生体を傷つけない脳の刺激法が開発されれば、ヒトのうつ病治療に使える日がくるかもしれない」としている。

日刊工業新聞2015年06月18日 科学技術・大学面

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

よく記憶は自分で勝手に書き換えていると言われるが・・

関連する記事はこちら

特集