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波乱万丈の米フィスカー、9分で充電の高級EVをCESで公開

再び「テスラキラー」となるか
波乱万丈の米フィスカー、9分で充電の高級EVをCESで公開

フィスカーの高級EV「Fisker EMotion」(同社のウェブサイトから)

 数年前にプラグインハイブリッド車(PHEV)のスポーツカー「フィスカー・カルマ」で脚光を浴びた自動車デザイナーのヘンリック・フィスカー氏が帰ってきた。同氏が2016年に設立しCEOを務める米フィスカー(カリフォルニア州)が、ラスベガスで2018年1月に開催される「CES 2018」で高級電気自動車(EV)をデビューさせるという。果たして今度こそ、「テスラキラー」となるかどうか。

 オンラインニュースのTheStreetのインタビューでフィスカー氏が明らかにした。それによれば、全輪駆動(AWD)の高級EV「フィスカー・エモーション(Fisker EMotion)」は、400マイル(約640キロメートル)を超える航続距離を持ち、最短9分でフル充電できる新しいバッテリー技術を搭載する。ちなみにテスラ車向け充電ステーションのスーパーチャージャーでは、30分で充電が完了する。

 光レーダースキャナー(ライダー)も内蔵し、近い将来に「レベル4」の自動運転機能を持たせるという。サイドミラーにもカメラを取り付け、運転者が周囲360度の風景を見渡せるようにする。価格は12万9900ドルから。19年の出荷開始予定。7月から予約金2000ドルでの事前予約を開始している。

 さらに20年には、先月7月に出荷が始まったテスラ「モデル3」の対向馬となるエモーションの廉価版を投入する考え。モデル3のベース価格3万5000ドルより1000ドルほど安い、3万4000ドル程度からの価格設定を目標にしている。

 デンマーク出身の自動車デザイナーとして、BMWの「Z8」ロードスターなどで辣腕を振るったフィスカー氏の起業家としての歩みを振り返ると、05年にBMWおよびアストンマーティン時代の同僚と高級カスタム車をデザインする米フィスカー・コーチビルドを設立。07年には、テスラに雇われ、同社の現在の主力車種である「モデルS」の初期設計に関わったこともある。
2017年8月19日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
高級EVのカテゴリーが熱い。米国にはこのほか中国系のファラデー・フューチャーや、ルーシッド・モーターズといったベンチャーが存在し、日本でも京都大学発ベンチャーのGLMが香港の投資会社傘下でグローバル展開を図ろうとしている。フランスや英国政府が打ち出したガソリン車およびディーゼル車の2040年販売禁止で、高級EVの流れがさらに加速しそうだ。

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