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体内で異物にならない人工抗体

神戸大が開発、血中たんぱく質活用
体内で異物にならない人工抗体

神戸大の竹内教授らが開発した、体内で異物とならない非天然プラスチック抗体(イメージ)

 神戸大学大学院工学研究科の竹内俊文教授らは、体内で異物とならない非天然プラスチック抗体(人工抗体)の超微細粒子を開発した。血液中のたんぱく質アルブミンを表面に吸着し、免疫応答への回避性を自発的に獲得できる。低コストで副作用の少ない体内の薬物送達システム(DDS)が期待でき、2017年度内にも腫瘍治療用DDSとして完成を目指す。

 研究グループは超微細粒子を血液中に投与した際、表面に血中たんぱく質が付着してできる「プロテインコロナ層」に注目。投与後にアルブミンで同層を作れば、自身のたんぱく質で覆うことから、異物と認識されないと考えた。

 そこでアルブミンに対して高い選択性を持つ、直径35ナノメートル(ナノは10億分の1)のプラスチック抗体を合成。細胞毒性がないことも確認した。

 免疫応答への回避性付与のための試薬や抗体、標的指向性たんぱく質などが不要で、低コストで容易に作成できる。将来は現在の天然抗体の代替材料としての応用も見込む。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
DDSは特定の体内組織へ選択的に医薬品を送達する仕組み。異物と認識されれば体内から排除されるため、免疫応答への回避性が不可欠となっている。

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