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タイも人手不足深刻!?カシオがタイで関数電卓生産を自動化

小型製品にも自動化広がり
タイも人手不足深刻!?カシオがタイで関数電卓生産を自動化

ボタンを押し、機能を検査する工程

 カシオ計算機は、8月にタイの生産拠点で関数電卓の自動化ラインを立ち上げる。人手不足と今後の増産に対応する。従来の手組みに比べ1ライン当たりの作業者を約3分の2に減らし、生産速度を1・6倍に上げる。需要動向を見ながら、2019年をめどに現在の生産ライン12本のうち8本を自動化する。タイでは人件費が高騰する傾向にある。今後、手作業の方が低コストだった小型製品の自動化が広がりそうだ。

 カシオは時計事業に次ぐ柱として、数学や語学向け製品の教育事業を育成している。関数電卓は数学向けの主力製品。海外の学校で一般的に使われており、授業や試験にも持ち込める。

 同社は大手2社の1社で、安定して10%以上の営業利益率を確保してきた。早期に年3000万台(現在2500万台)へ出荷を引き上げるため、生産自動化を進める。

 タイは同社の関数電卓の主力拠点。新ラインは、数字などの主要ボタンやゴム製ボタンの挿入、ビス締め、ボタンを押下した時の表示確認検査などを自動化した。既存ラインではつながっているボタンを、コンベヤーの横の作業台で加圧能力2トンのプレス機で切り離して組み付けていた。

 新ラインは圧力を受け止める仕組みを入れたパレットの導入と、プレス圧を500キログラムにしたことで、コンベヤー上で組み立てられる。また、全機種の生産に対応し、コスト低減できるよう工夫した。

 1ライン当たりの作業者は手組みの18人から11・5人となる。まず1ラインを稼働させて改善し、次のラインに反映させる。今後、自動化の範囲を広げ、最終的に1ライン当たり9人を目指す。
日刊工業新聞2017年7月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
2013年にタイのいろいな工場をじっくり取材した。その時はまだロボット導入コストより人を雇用する方が安いと言っていて、自動化ニーズはもう少し先になるという話だった。現在、生産現場だけでなく飲食などのサービス業でも人手不足と聞くが。

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