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水道管の腐食、路面掘らずに推定

産総研が調査技術開発、ローラー型ダイポールアンテナで電気探査
水道管の腐食、路面掘らずに推定

5本のローラーがはめ込まれたユニットがアンテナ。アンテナの間の地下を計測(産総研提供)

  産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門の神宮司元治主任研究員は、路面を傷つけずに水道管の周囲の土を調査する技術を開発した。高周波交流電気探査技術で地下の電流の流れにくさを計測する。この値から土壌が水道管を腐食させるリスクを推定する。老朽配管の更新計画に反映できる。

 従来は掘り返す必要があった。今後、腐食リスク推定に加え、地盤液状化の範囲推定などに応用する。

 路面にローラー型のダイポールアンテナを二対配置して高周波電流を送受信する。ノイズに強い直交同期検波方式を採用。位相を90度ずらした交流電流を扱うために二対のアンテナを同期した。

 土壌は水分や塩分が多いと電流が流れやすくなる。電気探査で地下の電流の流れにくさを計り、水道管の腐食リスクを推定する。土壌を掘削して直接計測と電気探査を比べると値が一致した。
日刊工業新聞2017年7月12日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
路面を掘り返す必要がなく、30分程度で計測準備から後片付けまで完了するという。アンテナの距離を離せば深部を計測でき、腐食リスクの立体地図も作製できる。

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