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東京メトロ、都営線との料金一元化は実現するか

訪日外国人利用客などから「分かりにくい」
 東京メトロの山村明義社長は29日、社長就任会見で2020年の導入を視野に、都営地下鉄と運賃の一元化について協議していることを明らかにした。お互いの路線を乗り継いだ際に発生する“2度目の”初乗り運賃をなくして、通算キロで料金を徴収する方式が有力だという。都内の地下鉄料金には訪日外国人利用客などから「分かりにくい」との声が上がっていた。

 山村社長は「東京都に提案した。減収になるが利用増の効果も見込める。両者で勉強会を実施しているところだ」と説明した。

 運賃表の共通化は難しいとの認識で、東京メトロと都営地下鉄間で通算運賃を採用することが現実的との見方を示した。
山村明義社長

訪日外国人の拡大もあり、2017年3月期は増収


 東京メトロの17年3月期連結決算は売上高が前期比1・8%増の4154億円だった。沿線の再開発や訪日外国人の増加で旅客運輸収入が堅調に推移した。

 経営課題の一つとなっている株式上場については「当社としてはいつでも上場できる状態にある」(奥義光前社長)と述べ、株式上場に向けて社内体制が整備されているとの考えを示した。理由として2017年3月期連結決算で5期連続の増収を達成したことや、安全対策などに積極的な設備投資を進めていることを挙げた。ただ時期については「株主である政府や東京都の意向」として明言しなかった。

日刊工業新聞2017年06月30日 建設・エネルギー・生活面
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
訪日外国人からすれば、都営線と東京メトロもそうですが、JRと私鉄との乗り換えも、その度に初乗り運賃がかかるし、わかりにくいだろうなと思います。逆説的ですが、これだけ鉄道が張り巡らされている国は他にないので、複雑な路線網を楽しんでもらうしかないような気がします。

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