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足利の中小企業、エアバス向けエンジン部品受注

菊地歯車、足利に新工場 来年量産
足利の中小企業、エアバス向けエンジン部品受注

LEAPエンジンはエアバスやボーイングに採用されている(CFMインターナショナル提供)

【宇都宮】菊地歯車(栃木県足利市、菊地義典社長、0284・71・4315)はフランスの航空機用エンジンメーカーであるスネクマから、欧エアバスの小型航空機「A320neo」などに搭載されるエンジン用のタービンブレード(羽根)の生産を受注した。年内にも足利市内の社有地に専用工場を新設し、2016年内に量産を開始する。同社は歯車の精密加工技術をもとに、航空機分野の事業を拡大してきた。日本の中小部品メーカーで、海外航空機関連大手と直接契約する例は珍しい。

 菊地歯車が手がけるのは、仏スネクマと米GEアビエーションの合弁会社であるCFMインターナショナルが生産する「LEAPエンジン」用の低圧タービンブレード。素材には難削材のチタンアルミニウム合金を使用する。菊地歯車の精密加工技術やスネクマが菊地歯車に発注したタービンブレードの試作品が高く評価された格好だ。

 専用工場は足利市寺岡町の約1万平方メートルの同社遊休地に建設する。5軸マシニングセンターなどを中心に設備し、建屋面積は3000平方メートルになる見通し。本格稼働後は70人規模のスタッフで操業にあたる計画。新設に伴い、約40人を新規採用する。

 菊地歯車は自動車や産業機械向けのギアなどを得意としてきたが、09年にJISQ9100(航空宇宙産業の品質管理規格)を国内歯車メーカーとしては初めて取得し、航空機分野に本格参入。11年にはパリエアショーに出展するなど事業領域を広げてきた。14年6月期の売上高は34億円。足利市の本社隣接地に六つの生産工場を構える。

 LEAPシリーズは、CFMインターナショナルが開発中の次世代航空エンジン。現行型と比べて燃費を15%改善するのが特徴。

 欧エアバスの「A320neo」や米ボーイングの「737MAX」といった座席数150―200席程度の旅客機への搭載が決まっており、現時点で約9000基の受注がある。


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日刊工業新聞2015年06月11日 総合1面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
菊池歯車の工場を取材したことがあります。5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)が行き届いた工場で、従業員が自主的に現場改善活動に取り組んでいる姿が印象的でした。技術を力強く支える生産現場があってこその受注だと思います。

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