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三菱重工、商船事業の黒字化宣言は本当か

エンジニアリング・調達・営業を集約した新組織で事業基盤固め
三菱重工、商船事業の黒字化宣言は本当か

長崎造船所

 三菱重工業は慢性的な赤字が続いていた商船事業について、2018年3月期に黒字化する見通しを明らかにした。黒字化に向けた組織改革の第1弾として、エンジニアリングや調達・営業機能を集約し、人材や技術を有効活用する新組織を7月に立ち上げる。プロジェクト管理の機能強化や調達改革によるコストダウンを進める。付加価値の高いエンジニアリングや艤装(ぎそう)技術に特化することで、商船事業の復活を期す。

 新組織「船舶・海洋技術統括センター」は、長崎造船所(長崎市)、下関造船所(山口県下関市)、品川本社に分散するエンジニアリングや調達、営業機能の一部を横浜ビル(横浜市西区)に集める。人員規模は約130人。

 横浜ビルには全社のエンジニアリングを統括する「エンジニアリング本部」があり、同本部と連携してエンジニアリングを核としたビジネス拡大を志向する。大型客船事業で得た複雑なエンジニアリングノウハウも生かす。

 商船事業は大規模損失を計上した大型客船事業の新規受注を凍結したほか、設計や建造などで今治造船名村造船所など専業大手と提携する方針を打ち出している。今回の組織再編は、商船事業の分社化を含めた新体制移行に向けた地ならしとなりそうだ。
日刊工業新聞2017年6月13日
長塚崇寛
長塚崇寛 Nagatsuka Takahiro 編集局ニュースセンター デスク
組織改革で事業遂行機能の責任を明確にし、黒字体質な事業基盤の再構築につなげる。中型客船や貨物船などに力を注ぐほか、20年から世界全海域で始まる硫黄酸化物(SOX)規制に伴う排ガス処理装置なども強化していく。

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