「エネルギーを多く使うことは恥ずかしい」。まだまだある省エネのネタ

省エネの大家、中上氏が語るエネルギーミックス・温室効果ガス削減目標

中上英俊氏

 政府は4月末、2030年のエネルギーミックス(電源構成)と温室効果ガス削減の目標原案をまとめた。再生可能エネルギーや原子力発電ほど注目はされなかったが、省エネルギーによる電力需要の17%削減も盛り込まれた。再生エネや原子力の割合に迫る17%減は厳しい目標なのか。経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会省エネルギー小委員会の中上英俊委員長(住環境計画研究所会長)に聞いた。    ―電源構成や温室効果ガスの削減は、省エネによる17%減があって成り立ちます。17%減は実現可能な目標でしょうか。  「期待値を入れて高い目標を置いた。例えば照明すべてがLEDに置き換わったとして計算したが、30年時点で100%LED化ができるとは思っていない。それでも100%にしたのは、可能性があるからだ。可能性がある省エネ技術を採用し、17%減となった。実現可能かどうかは別だ」  ―省エネ施策の具体例も詳細に示しました。  「産業部門(工場)は鉄鋼や化学など業種別に施策を示した。業務部門(ビル)にはオフィスがあれば病院、商業施設、飲食店があってエネルギーの使われた方は千差万別。それなのに業務部門として1本にまとめてしまった。業務部門も業種別のデータを整備し、具体的な省エネメニューを検証する必要がある。それが次の大きな省エネターゲットだ」  ―稼働していなくても電力を消費する待機電力の削減など、細かい省エネの必要性を常に訴えています。  「設備の省エネ性能の向上に過度に期待しているが、本丸は身の回りにある。待機電力の実態はまだわかっていない。ビルにはエアコン、給湯器、温水便座、自動販売機など待機電力は多い。一つひとつは小さくても集まると大きい」  ―省エネ設備への更新なら政策支援があります。待機電力の削減に政策支援はありません。  「パンチは効かないが、光熱費が減るので効用を実感できるはずだ。気づいていない省エネのネタもある。例えばドイツでは、乗車していないのに冷暖房を効かせているタクシーはない。エネルギーを多く使うことを恥ずかしいと思わないといけない」  ―22―24%となった再生エネの比率はどう評価しますか。  「太陽光の7%も高い数値だと思うが、本気で再生エネを使うなら冷静に議論するべきだ。発電コストはいくらを目指すのか、どの程度なら他の電源から置き換えができるのか。コスト目標がないままだと、コスト低減の技術開発が進まない」    【記者の目/政策支援・国民啓発の強化必要】  省エネによる17%減は厳しい目標だと中上氏は語る。政府の審議会でも電力料金の上昇を抑えるための省エネはあっても、発電コスト低減と省エネを同時に進める目標は前例がないという意見が出た。必要な省エネ投資は37兆円とされ、国民負担も伴う。政策支援や待機電力を減らすような啓発など推進策の強化が求められる。 (聞き手=松木喬)

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