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「悪意の商標出願」対策で国際連携

特許庁など欧米中韓の商標5庁で
 日本と米国、欧州、中国、韓国による商標5庁(TM5)は、国際商標協会(INTA)と連携して「悪意の商標出願」の対策に乗り出す。有名な地名やブランドなどの商標が海外において無関係な第三者により無断で商標出願・登録される事態が顕在化する中、特許庁など各国・地域の知的財産庁がそれぞれ代表的な事例を公表し、不正目的の行為をけん制。偽物の流通や誤った知識が広まるのを防ぎ、企業の輸出戦略などを側面支援する。

 TM5を構成する各知財庁は、裁判や審判などで争われた「悪意の商標出願事例」をそれぞれ10件、合計50件掲載した事例集を策定した。INTAが24日まで開催中の年次総会で初めて公表する。判決や審決の要約、各庁の制度運用の比較表などを盛り込んだ。

 INTAは190カ国の政府機関、教育機関、企業など6700以上の会員で構成されており、年次総会でTM5とワークショップを共催し、事例集の周知を図る。TM5はウェブで事例集を公開する。

 「悪意の商標出願」は、他社からの許諾料や譲渡対価の取得を狙ったり、社会に広く認知されている商標を使用許諾を得ていないことを認識しつつ、類似商標を登録出願したりする不正目的の行為。過去、中国で日本の人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の商標をめぐる訴訟などが話題を集めた。
日刊工業新聞2017年5月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本は今後、「クールジャパン」戦略の下で農産品やコンテンツも世界に広める動きを強める。その一環として特許庁は「悪意の商標出願」対策プロジェクトをTM5の中で主導していくという。

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