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サイバーセキュリティー投資促進税制を創設へ

経産省と総務省が18年度税制改正で優遇策
 経済産業省と総務省が共同で、2018年度税制改正で企業のサイバーセキュリティー投資を促進する支援策を検討していることが明らかになった。20年の東京五輪・パラリンピックを控え、重要インフラや個人情報などを狙ったサイバー攻撃の脅威が高まる中、企業の防御策強化にインセンティブを与える。12日に世界的なサイバー攻撃が発生するなど防御策の緊急度は増している。

 経産省と総務省は、第4次産業革命の推進を見据えて連携し、サイバーセキュリティー投資促進税制の創設を目指す。サイバー攻撃を防ぐソフト・ハードとサービスなどの認定や、対策を施した企業を評価する仕組みなどを検討するとみられる。

 制度設計の詳細は今後詰めるが、すでに局長級会議などで具体的検討に入った。企業の対策が進めば、サイバーセキュリティー産業の市場が急拡大する公算が大きい。

 セキュリティー人材の育成では総務省所管の情報通信研究機構(NICT)と経産省所管の情報処理推進機構(IPA)による連携を検討する。IPAの育成機関「産業サイバーセキュリティセンター」などを活用し、知識や技能を明確化する。16年に策定したIoTを安全に導入・運用する指針「IoTセキュリティガイドライン」の普及も図る。
日刊工業新聞2017年5月16日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
 IPAの調査によると、従業員300人以上の企業で最高情報セキュリティー責任者(CISO)を置いている割合は6割程度で、欧米に比べて20ポイント以上の差がある。経産省は経営層の関与を促すとともに、投資への支援策を打ち出すことで企業のサイバー攻撃対策を加速させる。

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