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【今週のリケジョ小町】色や形、音も変わる溶接に惹かれる

ダイヘン 近藤わかなさん
 入社3年目の近藤わかなさん(24)は、ダイヘンの溶接機研究開発部門で約10年ぶりとなる女性技術者。月内に発売する新型溶接機「WB―W350」の開発で、三つある溶接モードの一つ「鉄モード」のチームリーダーとして、最適な波形を考え、作り込んだ。「溶接している時が一番楽しい。材料によってアーク(溶接時の放電現象)の色や形、音も変わる」と、魅力を興奮気味に語る。昨秋の米国出張で大規模溶接の迫力を目の当たりにし、海外勤務を目指して語学学習にも励んでいる。

興味は「リバティー船」から


 大阪大学工学部応用理工学科で接合を学びました。理系を選んだのは、高校生の時に母が買ってくれた元素図鑑にはまり、特に金属が好きで、材料について学びたいと思ったのがきっかけです。

 大学1年の夏期集中コースで破壊力学を学び、専攻を接合に。見た目にはしっかり溶接された船が、実際は溶接の知識不足で停泊中にたくさん割れるという約70年前に多発した事例「リバティー船の脆性破壊」に興味を持ちました。大規模から小規模までさまざまな溶接を経験したくて、溶接機メーカー最大手で授業の実習で訪れたこともあるダイヘンの門をたたきました。

 研究開発の仕事はアーク(溶接時の放電現象)のことばかり考えると思っていたのですが、実際は電気回路、周辺機械装置、制御ソフトウエアなど広い知識が必要です。溶接機は材料やシールドガスに応じたモードがあり、それぞれに最適な波形を出して溶接します。この波形の研究から、製品化に向けた作り込みまでを行っています。

 昨年末、特定顧客向け専用モードの開発を任されました。一から研究する部分が多く自分の経験不足を痛感。時間配分がきちんとできず苦しい日々でしたが、先輩の助けや秘密兵器も使わせてもらい必死で納期を守りました。

 頑張る力になっているのが宝塚歌劇です。少なくとも月1回は観劇に行っています。
                 

(文=大阪・松中康雄、写真=同・清家史彦)
日刊工業新聞2017年5月15日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
男女関係なく3年目で開発チームの一翼を担うのは、相当の力量と向上心があってのことだろう。ぜひ希望の海外勤務を。

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