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4兆円市場、3世代消費を狙え!

「孫の日」は不発に終わったけれど…
 3世代消費、祖父母の孫のためのモノの消費、または共に過ごすことによって生じる消費が注目されている。三菱総合研究所の調査(2015年8月)のよると、3世代消費の金額はおよそ年間3兆8000億円(教育費含む)にも上り、最近注目をされている訪日外国人旅客による国内消費額2兆円(2014年)の約2倍に当たる規模となっている。

 内訳をみると、第1位はプレゼント・お祝い(29%)、第2位は旅行・レジャー(19%)、第3位は食費・飲料費(17%)、第4位は外食(11%)となっている。孫と楽しい時間を過ごす「コト」消費へのニーズがうかがえる。

 内閣府の平成24年度「団塊の世代の意識に関する調査結果」によると、「自由にできるお金があった場合の使途」について、優先順位では「子や孫のための支出」は4番目となっている。

 また、13年にJTBが実施した夏の旅行に関する意識調査では、3世代で旅行をしたい人は12%と前年比倍増で、3世代旅行市場の今後の拡大が見込まれる。

 ファミリーレストラン各社は、夫婦と子供という従来パターンから祖父母も含めた利用に客層が変わっていることを受け、高齢者が好むメニューの開発を進めている。

 高齢者に対応したメニュー開発だけでなく、設備面でもシニアの目線に立った店づくりで、3世代需要の推進をしている。座席の配置では祖父母を含む3世代の利用増を踏まえ4人席を6人席に拡大を図っている。

 3世代消費を狙った販促としては、日本百貨店協会が提唱し、1999年から始まった「孫の日」(毎年10月第3日曜日)は期待外れに終わったケースである。当初はメディアでも数多く取り上げられるなど、一定の盛り上がりを見せたが、年を経るにつれて失速した。

 いまや孫の日の関連セールを見かけることも少なくなった。定着しなかった理由は、高齢者の財布を狙おうとする魂胆が見えて、反感を誘った。

 東京ディズニーランドでは、3世代で楽しめる企画として家族ごとの異なる希望に合わせてツアーを提案した。3世代消費を取り込むには、それぞれの楽しみ方を具現化するオンリーワンの提案力が重要である。
(文=上野延城・日本経営士会)
日刊工業新聞2017年5月11日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
「孫の日」とか狙って作ると必ず必ず失敗する。三世代まとめてとなるとやっぱり旅行が中心になってしまうのか…

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