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ビルの背比べ。東京の傷かランドマークか

常盤橋の高層ビルプロジェクト、兄さんたちをはるかに上回る
 ♪柱の傷はおととしの〜。童謡『背比べ』は、端午の節句に兄に身長を測ってもらう弟のほほ笑ましい姿を描く。子供たちの健やかな成長は、驚くほど早い。ビルの高さ比べも目まぐるしい。20年以上、日本一を守ってきたのが横浜のみなとみらい地区にある三菱地所の「ランドマークタワー」。2014年に近畿日本鉄道が大阪に建てた「あべのハルカス」に、その座を譲った。

 “丸の内の大家さん”として知られる三菱地所からは、東京都心にノッポ君が続々と誕生している。丸ビル、新丸ビル、東京ビルなど、古い名前を引き継ぎながら面目を一新した。

 その弟分となる新ビルが4月に着工した。丸の内から山手線を挟んだ反対側に位置する常盤橋地区。床面積日本一の日本ビルがあり、その隣はかつての新日鉄ビルだ。富士・八幡合併で誕生した新日本製鉄(現・新日鉄住金)が本社を置き、稲山嘉寛氏、斎藤英四郎氏、今井敬氏と3人の経団連会長が、この建物から生まれた。

 常盤橋地区の大規模再開発で生まれる新ビルは、兄さんたちをはるかに上回る390メートル。完成すればビル日本一の座を奪還する。高さだけではなく、日本の産業界のトップとなる優良企業の本拠になれるか。

日刊工業新聞2017年5月5日


「常盤橋再開発プロジェクト」

日本一は390メートルに


 三菱地所は17日、東京駅北側の日本橋口前で計画している「常盤橋再開発プロジェクト」の建設工事を今月末に始めると発表した。プロジェクトの目玉は、高さ約390メートルの超高層ビル。2027年度の完成で、日本一の「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区、300メートル)を上回る。

 プロジェクトの敷地面積は3万1400平方メートル。段階的に開発を進め、27年度に全4棟(A―D棟)が完成する。今回着工するのはD棟で、東京都水道局の下水ポンプ所と事務所が入る。

 約390メートルのB棟は23年度に着工する。地上61階、地下5階で、オフィスや商業施設をはじめ、観光用の展望室も設ける。プロジェクトの総事業費は約5000億円に上る。

日刊工業新聞2017年4月18日

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
職業柄、これまで工事中の高層ビルに登る機会が多かった。記者になったばかりの横浜支局時代にはランドマークタワーに市長らと見学。不動産担当時代は工事中に六本木ヒルズに。海外出張では台北の当時世界一だった「台北101」の最上階に。記者としてはどれだけ自分は伸びたのだろうかと考えてしまった。

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