IHIが海洋構造物の生産から撤退で、どうなる国の資源開発?

手持ち工事を終えたところで生産機能を停止する愛知工場

 IHIは、愛知工場(愛知県知多市)での海洋構造物の生産から撤退する。同工場では「SPBタンク」と呼ばれる液化天然ガス(LNG)船に搭載するアルミ製タンクなどを手がけてきた。しかし原油安を受けた海洋開発需要の停滞や採算悪化により、事業継続が困難と判断。受注済みの手持ち工事を完工した時点で生産機能を停止し、400人強の従業員は他事業に配置転換する。ただ、海洋資源開発を自国技術で手がける国家戦略に貢献するため、製造技術やノウハウは保持・活用する考えだ。  愛知工場ではすでに海洋構造物関連の新規受注を凍結しており、現有工事の完工後に生産を終了する。納入後のアフターサービスは早期に専門組織を設置して対応。焦点となる今後の愛知工場の活用方法については今後検討する。  これに伴い生産設備の資産価値の再評価を実施。回収不能見込額の減損処理や設備の解体撤去に必要な構造改革費用として、2017年3月期に99億円の特別損失を計上する。  IHIは13年に造船事業をJFEホールディングスと統合する形で切り出したが、愛知工場を軸とする海洋事業は本体に残した。  だが、初号機を製作して以来、20年以上ぶりに手がけたSPBタンク。LNG船4隻向けに16基を受注しているが、第1船最初のタンクを船体に搭載する工程で、作業難易度が想定を超えた。  SPBタンクに加え、シンガポール向けドリルシップ、ノルウェー向け洋上浮体式石油生産貯蔵積出設備(FPSO)の船体建造でも幾多の工程混乱でコストが大幅に増加した。  17年3月期は資産売却などで当期黒字を確保するものの、海洋構造物事業の不振が響き、年間配当は09年3月期以来となる無配を見込む。  今回、生産撤退を決断したIHIだが、海洋開発から完全に手を引くわけではない。IHI単体としての船舶建造に終止符を打つが、大手重工メーカーが培ってきた高度な技術力は、海洋資源を有望視する日本の国益に資するはずだ。

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