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星野リゾートの「脱デジタル滞在」を体験! 星のや軽井沢でデトックス(後編)

部屋のどこに電源があるのかすら知らない。どこにもつながらなくていい開放感がある
星野リゾートの「脱デジタル滞在」を体験! 星のや軽井沢でデトックス(後編)

五感を刺激し、リラックスできるリゾートが星のや軽井沢のコンセプト

 星のや軽井沢の脱デジタル滞在2日目。朝、リゾートのモーニングコールで目が覚めた。もう何年も目覚ましはスマホだったのだが、今回はそのスマホを預けてしまったので、モーニングコールをお願いした。フロントの女性の声で目覚めるのは、何とも言えない新鮮な気持ちになった。

 星のや軽井沢の脱デジタル滞在では、「時間をゆっくり使う」こともコンセプトとなっていて、部屋には退屈を楽しむグッズが数々取りそろえられている。手挽きのコーヒーミルもその一つで、目覚めのコーヒーを豆から自分で挽いて飲んでみた。挽きたてのコーヒーは味わい深く、贅沢な朝のひとときだった。

 朝食後は、脱デジタル滞在のクライマックスである、小浅間山に登る。星のや軽井沢から車で30分ほど行くと、標高1600メートルの小浅間山の1400メートル付近まで来ることができる。トレッキングはここから頂上を目指す。大人の足なら往復2時間程度で、初心者にはうってつけの山だ。

 夜間から降り出した雨で木々は夜露に濡れ、澄んだ空気。山道は整地され、初心者にも歩きやすいコースだが、熊が出没するらしく、熊よけの鈴を鳴らしながら歩く。休日に海と山のどちらに行くかと問われれば、迷わず海を選んできた私にとって、山道を歩くのは、中学の遠足以来。途中、勾配のきついところや、頂上付近は小石が多く滑りやすくて辛かったが、登り切ると、雄大な浅間山と軽井沢を一望できるパノラマが広がる。

 登ったのはたった200メートルほどなのに、ものすごい達成感。山好きにはもの足りず、地元の人もあまり登らない、絵に描いたような穴場の小浅間山。絶景を前に、頂上で飲むコーヒーは格別だった。

 小浅間山から戻ると、「ツボとお灸のワークショップ」で、自宅でも簡単にできるお灸のやり方を教えてもらいながら、視神経に通じるツボに、お灸を据える。慢性的な頭と目の疲労感がありながら、お灸でそれを和らげようなんて考えたことがなかったが、せっかく教えてもらったので、自宅でも取り入れてみようと思った。

 プログラムの最後は、星のや軽井沢のスパ施設「メディテイションバス」で温泉の浮力を利用した指圧を行う。メディテイションバスには「光の部屋」と「闇の部屋」があり、交互に入ることで、心身の緊張をほぐす効果がある。まず、闇の部屋でフロートに身を任せて体を浮かせる「闇の湯の浮遊浴」でリラックス。光の部屋では、水の抵抗を利用しながら、自律神経にメリハリを付ける指圧を行う「温泉水中指圧」で、インナーマッスルを刺激する。

 メディテイションバスを出ると、昨日自らカギを閉めたアタッシェケースを持って、スタッフの方が待ってくれていた。チェックアウトで、PCとスマホが返却される。悲しいかな、開けている最中にも、スマホが鳴る。さっきまでの浅間山の絶景が嘘のようだが、これが現実だ。

 星野リゾートでは、軽井沢以外にも、京都・嵐山と沖縄・竹富島で、脱デジタル滞在プランを提供している。京都では寺院での朝のお勤め体験で、自分を見つめ直し、竹富島では浜辺のボルタリングで自分と向き合うことができる。

 出張などでホテルに宿泊すると、デジタル機器を充電するため、血眼になって電源を探し、部屋のあっちこっちでスマホやデジカメをつなげるのだが、今回の脱デジタル滞在では、部屋のどこに電源があるのかすら知らなかった。どこにもつなげなくていいというのは、ちょっとした開放感があった。

 星のや軽井沢では2泊3日のプランで料金は5万8000円、1泊2日のショートバージョンで4万円(いずれも宿泊費は別)。決して安くはないが、この記事をPCやスマホで読んでいるあなたに、星のやで体験できる贅沢な「デジタルデトックス」を、是非おすすめしたい。
ニュースイッチオリジナル
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
テレビっ子の私にとって、テレビがないということがすでに脱デジタル。そこにスマホもなく、PCもなく、かなり退屈に過ごすことになるのかと戦々恐々だったのですが、星のや軽井沢の脱デジタル滞在プランは、さまざまなプログラムが詰まっていて、いろいろ発見も多く、飽きることなく過ごせました。プランは自分でアレンジも可能で、周辺には野鳥の森があったり、ムササビがいたりもするようなので、もっと自然に触れたり、もっと自分と向き合ったり、オリジナルの過ごし方ができるのも、ポイントかなと思います。

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