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東芝の創業者は偉大な発明家でもあった!

「田中久重」 懐中燭台や万年時計、日本初の蒸気機関車模型も
東芝の創業者は偉大な発明家でもあった!

東芝の創業者である田中久重と万年時計(東芝未来科学館公式ページより)

 自動織機を完成した豊田佐吉、真珠の養殖に成功した御木本幸吉、世界で初めてビタミンを抽出した鈴木梅太郎…。特許制度公布百周年を記念して特許庁が1985年に選定した「十大発明家」である。

 ただ、10人の中に「からくり儀右衛門」と呼ばれた田中久重の名前がない。制度が始まる前の幕末から明治初期にかけて活躍したため、対象外となったのだろう。

 十代からからくり人形の仕掛けを次々と考案し、中でも現存する「弓曳童子」は最高傑作といわれる。矢台に置かれた4本の矢を人形が順番に手に取り、連射する。4回のうち1回は的を外すよう細工され、能面効果で矢が的に当たった時には満足げ、外れた時は悔しげな表情を浮かべるように見えるという。

 田中は「懐中燭台」「無尽灯」「万年時計」などを製作し、日本初の蒸気機関車の模型や蒸気船建造を手がけた。1875年(明8)には東芝の源流となる電信機メーカーを設立した。東芝の創業者は偉大な発明家でもあった。

 4月18日は「発明の日」。今週は科学技術週間でもあり、各地でさまざまなイベントが開かれる。資源の乏しい日本は知的財産の活用が極めて重要だ。少しでも発明や知財に触れるため出かけようか。
日刊工業新聞2017年4月18日「産業春秋」より
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
久重が東京・銀座に工場を興し、弟子であり養子の田中大吉(後の2代目久重)が東京・芝浦に移転。この工場の技術者の中には、後の沖電気工業、池貝、宮田工業などの創業者がいた。東芝の社長となると、芝浦製作所と東京電気が合併し東京芝浦電気(現在の東芝)が1939年から。初代が山口喜三郎。そこから現在の綱川氏まで19人いる。ちょうど昨日、10代目社長の渡里杉一郎氏の訃報が入ってきた。86年に社長に就任したが、「東芝機械ココム事件」の責任を取って87年に辞任した。社長在任期間は、前社長の室町さんの1年に次いで2番目に短い。 よく「第ニの創業」、「創業の精神に立ち返って」というが、社員ではなくても創業85周年を記念して開館した東芝科学館に一度、見学に訪れるてはどうだろう。

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