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まだまだ繋がっていない陸と空、ドローンで橋やトンネル点検を実証

国交省が17年度から府省連携プロジェクト
まだまだ繋がっていない陸と空、ドローンで橋やトンネル点検を実証

橋やトンネルを点検するインフラロボットの開発を加速(イメージ)

 国土交通省は2017年度から、府省連携で開発する次世代のインフラ維持管理ロボットの実証を始める。内閣府の産学連携プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」で開発が進んだインフラロボットを対象に、橋やトンネルなどの点検やモニタリングなどの作業について実用化の観点から評価する。先端的なSIPの研究に、実際の利用を想定した実証を加え、現場で使えるインフラロボの開発を加速する。

 国交省が実証するのは、5年間で取り組むSIPの「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」のうち、16年度までの3年間の開発評価を受け、4年目以降の開発が認められたインフラロボ。レーザー距離計や照明を搭載した橋点検ロボットカメラによるモニタリングシステムや、橋やトンネルで打音点検を行う飛行ロボット(ドローン)など10件弱を想定する。ロボット以外の非破壊検査などの技術も検証していく。

 国交省は既存事業で橋やトンネルの点検で使うインフラロボの現場実証をしている。先進的な技術を開発しているSIPの成果についても、現場で規定に合った点検やモニタリングができるかを確認。必要に応じて改善点を示し、実用化につなげる。

 橋やトンネルの点検業務は人による「近接目視」が規定されている。ただ、SIPのインフラロボは技術的な観点で研究開発しており、レーダーによる点検など、将来の維持管理手法を提案する内容もある。

 すぐに現場導入はできない技術や現場ニーズに合わない技術も含めて、国交省がインフラ管理者の観点から検証し、SIPに参加する企業など開発者へフィードバックする。実証を通じて、実際に現場で使うことを想定したインフラロボの開発を促す。
『スマートファクトリーJapan』
 製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す「スマートファクトリーJapan 2017」を2017年6月7日(水)〜9日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した生産管理・システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。

 また、昨年まで「クラウドコミュニティ」という名称でセミナーセッションを中心に企画展を実施してまいりましたが、時代の潮流に合わせてID獲得型フォーラムとして「IoT・AI Innovation Forum」を同時開催いたします。
【4月下旬来場登録開始】
日刊工業新聞2017年4月17日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
 ドローンは地方もこぞって期待を寄せる新規検討としては比較的取り組み始めやすい領域ではあるが、安全面での懸念があったりピジネスモデルが確立しにくかったりとまだまだ検討事項が残っているのも事実の領域だ。 一方で一般人が足を踏み入れない建設現場ではコマツがリードしてきたドローンによる測量が実験の域を出て商用化・一般化し始めている。すでに確立されているそれらの技術を元に橋梁点検の領域においても実用化に向けて技術のみでなくルールづくりも合わせた早期のビジネス化にむけた整備が求められる。   IoTの時代には繋がっていないモノゴトを繋ぐことで課題を解決するアプローチが必須だが、その点においては陸と空はまだまだ繋がっておらず可能性は無限大にあると言って良いだろう。作業員が高齢で人が減ってしまって手が打てなくなる前にビジネスとして確立することが急がれる。

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