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断水、停電でも臭わない!井戸水を使った災害時用緊急水洗トイレを販売

井戸屋が自治体向けなど。「災害時トイレという新しいビジネスモデルで地域社会に貢献したい」(綾社長)
 井戸屋(神奈川県茅ヶ崎市)は、井戸水を使った災害時用緊急水洗トイレ「イドテック・トイレ」を発売した。井戸水を利用するため、停電や断水時にも使用が可能。水洗のため感染症対策にもなる。価格は780万円(消費税抜き)から。自治体や整備事業者向けに販売する。初年度で8機の導入を見込む。
 
 イドテック・トイレは事前に掘った井戸から、手動組み上げ機で地下水を吸い上げ、各便器に流す仕組み。汚物は水とともに下水に流れる。便座や組み上げ機は組み立て式。通常時は災害用倉庫などに保管する。配管などは地中に埋め込み、通常時はマンホールでふさぎ、駐輪場や駐車場に利用する。井戸水は散水などにも利用できる。

 茅ヶ崎市のしろやま公園には、UR都市機構が集合住宅とともに整備。同事業の一環で「イドテック・トイレ」を導入した。公園には災害用の備蓄倉庫を併設しており、管理は茅ヶ崎市が行う。茅ヶ崎市市民安全部防災対策課の入澤浩課長補佐は、従来は使い捨てトイレのみの配備だったとし、「水洗のため汚物を捨てる手間もなく、市民の負担もない。男女問わず利用できる。可能であれば増やしていきたい」と期待する。

 綾社長は東日本大震災後、水の確保のため被災地で井戸を掘った。そこで被災地のトイレ事情を目の当たりにした。「建設業として災害時のトイレという新しいビジネスモデルで地域社会に貢献したい」と話す。
日刊工業新聞06月02日中小・ベンチャー・中小政策面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
東日本大震災で水道の断水は約200万戸。生活に重大な支障を来しましたが、災害時の家庭で井戸水の利用が一番多いのがトイレの水とか。

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