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8K有機EL、小型から大型までの製造技術を確立

半導体エネ研、技術供与先を探し医療など幅広い用途で実用化目指す
8K有機EL、小型から大型までの製造技術を確立

13・3インチの8K有機ELディスプレー

 半導体エネルギー研究所(神奈川県厚木市、山崎舜平社長)は、「8K」の有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーについて、一つの工程で十数インチの小型から75インチ以上の大型まで幅広く製造できる技術を確立した。独自の駆動回路技術を採用することで、小型化に伴う画素の高密度化と、大型化する際の映像ムラの低減を実現した。今後、技術の供与先を探し、医療分野など幅広い用途で実用化を進める。

 8Kパネルはフルハイビジョンの16倍の解像度を持つ映像を映し出せる。今回、有機EL発光層からの光を基板側から取り出す「ボトムエミッション方式」でパネルを作る技術を確立した。同方式は製造工程が比較的簡単で、基板の大型化にも対応できる。

 従来、同方式は発光効率が低い点が課題だった。開発した製造技術は面積当たりの発光率を示す開口率について、発光効率の良い「トップエミッション方式」と同程度の25・9%程度に高めた。また既存技術では13枚必要だったフォトマスクを10枚に削減した。製造コストの低減につなげられる。

 このほどボトムエミッション方式による製造技術で、13・3インチの8K有機ELパネルを開発した。電子移動度が高く、小さなトランジスタで大電流を流せる独自の酸化物半導体「OSFET」を駆動回路に採用。1インチ当たりの画素数を664に高め、小画面での8Kを実現した。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
従来の有機ELパネルでは面積当たりの画素を高密度にできず、小型化が難しかった。ボトムエミッション方式による13・3インチは世界最小だという。合わせて独自の有機EL材料を採用して色の表現度を向上し、色域規格である「BT.2020」に対応した。

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