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“エッジコンピューティング元年”に立ちはだかる壁

電機各社が基盤構築へ技術結集、団体は協調して相互連携できるか
 デバイス&システム・プラットフォーム開発センター(DSPC、川崎市幸区、波多野至社長)は、現場の機器に近い場所で演算・処理する「エッジコンピューティング」プラットフォーム(基盤)の事業化に向けたコンソーシアムを5月末に立ち上げる。東芝やアルプス電気など日本メーカーが保有する半導体関連技術を集め、日本発のハードウエア視点からの基盤構築を狙う。

 IoT(モノのインターネット)の進展により、2020年には接続デバイスの数は500億台にのぼるとも言われる。いったんデータをクラウドシステムに上げることによる処理速度の低下や、データセンターでの負荷増大に伴う消費電力の上昇などが課題になる。こうした課題の解決策の一つとしてエッジコンピューティングが注目されている。

 コンソーシアムの参画対象は、半導体やデバイスメーカー、サービスやソフトウエア企業など。オープンイノベーションや企業間連携を進め、クラウドに依存せず自立的に情報処理できる次世代エッジコンピューティングシステム基盤「エッジプラットフォーム」を構築・定義することを目指す。

 ハード、ソフトウエアの基本的な条件を設定して実証試験などを進め、1年後の事業化を狙う。会員企業はエッジプラットフォームを活用した機器やアプリケーション(応用ソフト)を個別に作り、事業につなげる。

 日本はIoTで大量に使われるアナログ半導体やセンサーなど、多種多様な半導体を低コストに作れる直径200ミリメートルウエハーを加工する工場を多く抱える。電子部品やデータを記憶するメモリーのシェアも高く、こうした知見を基盤づくりに活用する。

 DSPCはIoT関連デバイスやシステムの開発、製造、販売を目的に15年に設立された。東芝、アルプス電気、凸版印刷、ニューソン(東京都港区)などが株主となっている。
               

『スマートファクトリーJapan』
 製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す「スマートファクトリーJapan 2017」を2017年6月7日(水)〜9日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した生産管理・システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。

 また、昨年まで「クラウドコミュニティ」という名称でセミナーセッションを中心に企画展を実施してまいりましたが、時代の潮流に合わせてID獲得型フォーラムとして「IoT・AI Innovation Forum」を同時開催いたします。
【出展者募集中】
日刊工業新聞2017年4月4日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
 エッジコンピューティングが盛り上がり始めた。八子が2010年から予測してきたサイクルではクラウド登場から10年経った今年はエッジコンピューティングへの大規模シフトが起こり始める "エッジ元年" 。とは言え、クラウドの利用もままならない企業が多い中では単純にクラウド側でやらないことをローカル側でやるというだけでは"昔帰り"または"変化ナシ"であってなんの意味も持たない。  重要なのはクラウドとの相互連携はもちろんのこと、エッジ同士もネットワークに繋がって相互に協調しながら処理をするフォグのような考え方と実装モデルだ。フォグについては既にグローバルなコンソーシアムである、オープン・フォグ・コンソーシアムが立ち上がり活動している。いたずらに団体が増えて対立するようなことは避け、まさにそれら団体も協調しながら相互連携する方向を模索していただきたいものだ。

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