広がる生体認証、「個人情報保護と社会の安全」バランスをどうとるか

NECの本社売店で顔認証活用した決済サービスの実証実験

 身体的な特徴を活用したバイオメトリクス(生体認証)は、“もろ刃の剣”といえる。プライバシー保護の観点で支障を来すことがないように留意することが必要だ。  スマートフォンの普及で、指紋や眼球の虹彩で本人を確認する生体認証が身近な存在となってきた。パスワードに比べて利便性や信頼性に優れているのが特徴。スマホやパソコンのログインにとどまらず、入退出管理や現金自動預払機(ATM)の認証、モバイル決済など社会全体へと広がっている。  生体認証の方式は指紋や虹彩のほか、手のひらや指の静脈や声紋など多種多様だ。ここにきて脚光を浴びているのが顔認証。顔認証は従来、光の当たり方や顔の向きなどの影響を受けるため難しく、動画だとさらに難度が高いとされてきた。  ただ最近の技術の進展で、監視カメラをネットワーク接続し、動いている被写体の顔を即時に認証する方式は実用化されている。「照合精度は99・2%」(NEC)と高水準。街角にカメラが設置されていれば迷子などをすぐに見つけ出したり、異なる複数の動画から不審な行動の人物を把握したりすることが可能だ。  顔認証は今後、空港などの公共施設や大規模な店舗、イベントなど幅広い利用が見込まれる。ただ監視の度合いが過ぎるとプライバシー侵害の恐れがある。すでに駅のホームなどでみられるスクリーン付きの自動販売機は、内蔵カメラで性別と年齢を判断して推奨する商品を表示する仕組みを稼働している。これを便利と思うか、気味が悪いと思うかは個人差があろう。  こうしたプライバシーに関する感覚は地域によっても異なる。アルゼンチンでは都市部の犯罪の多い地区に監視カメラを設置して、安心安全な街づくりを進めている。成果として、2008―13年で車の盗難を80%減少させ、10年間で観光収入が3倍に高まったという。  つまりは使い方次第。生体認証の負の側面を認識した上で、適材適所で使いこなすことが求められる。

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