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国内工場のIoT化で日立の運転資金手持ち日数は短くなる?

70日が目標、タスクフォースが自社プラットフォームの活用を支援
国内工場のIoT化で日立の運転資金手持ち日数は短くなる?

IoTで生産改善を実現した日立の大みか事業所

 日立製作所は水戸事業所(茨城県ひたちなか市)など国内の主要4工場で、IoT(モノのインターネット)を使った生産改善を展開する。工程を見える化して異常を検知し対策を講じるサイクルを回し、生産リードタイムや棚卸し資産を圧縮する。これにより資金の創出力を高め、2018年度に運転資金手持ち日数(CCC)を70日(15年度は71・6日)にする目標の達成につなげる。

 水戸事業所のほか、土浦事業所(茨城県土浦市)や日立事業所国分工場(同日立市)、笠戸事業所(山口県下松市)でIoT活用の生産改善を実施する。1工場当たり数千万円を投資し、データ取得のためのセンサーやITシステムを導入して体制を整備する。17年度中に実施する。4工場で実施した後、他の工場にも活動を広げる計画。
             

 社内の「モノづくり戦略本部」と「ICT事業統括本部」の出身者で構成する10人程度のタスクフォースを結成し活動を支援する。IoTプラットフォーム(基盤)「ルマーダ」を活用し、生産の見える化や分析、対策の実施というサイクルを回して改善につなげる。RFID(無線識別)タグを使った生産監視や、監視カメラによる異常検知システムなども導入する。

 先行して実施した大みか事業所(茨城県日立市)では、多品種少量生産を行う制御装置の一部について、リードタイムを半減させる成果を上げた。

 日立はキャッシュ創出力の強化のため、投下資金の回収期間を示すCCCを短縮する取り組みを重視している。電力や鉄道などプロジェクトの期間の長い事業は、年度によってはCCCが100日を超えるケースもある。IoTによる生産改善を進め、これらの事業においても100日以下を目指す。
              

『スマートファクトリーJapan』
 製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す「スマートファクトリーJapan 2017」を2017年6月7日(水)〜9日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した生産管理・システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。

 また、昨年まで「クラウドコミュニティ」という名称でセミナーセッションを中心に企画展を実施してまいりましたが、時代の潮流に合わせてID獲得型フォーラムとして「IoT・AI Innovation Forum」を同時開催いたします。
【出展者募集中】
日刊工業新聞2017年3月23日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
以前に旗を振っていたコスト削減を目指す「日立スマートトランスフォーメーションプロジェクト(スマトラ)」。中西会長などはよくコスト削減などが主目的ではなく、仕事のやり方、ビジネスモデルを変えることが本質と話していた。スマトラもそれ自体をやることが自己目的化していた。今回のIoT生産革命もCCCの改善の先に何があるのか。本当に日立が世界で戦えるサービスを生み出せるのか。「ルマーダ」を社内で使うこと自体が目的化してしまうのはよくない。

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