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ゲリラ豪雨の予測は地デジで!

情通機構が水蒸気量の測定技術を開発
 情報通信研究機構は、地上デジタル放送の電波(地デジ放送波)を使った水蒸気量の推定手法を開発した。ピコ秒(ピコは1兆分の1)の精度で電波の伝搬遅延を計測できるようにし、ソフトウエア無線技術を用いて水蒸気量を測れる小型で安価なリアルタイム測定装置を開発した。ゲリラ豪雨などの局所的な気象現象の予測精度の向上が見込める。

 米科学誌レディオ・サイエンスに掲載された。

 電波は大気中の水蒸気量によって伝わる速度が変わるため、その変化量を精密に測定することで水蒸気量が推定可能。情通機構電磁波研究所の川村誠治主任研究員らの研究チームは、地デジ放送波から電波の伝搬遅延を求める手法を考案した。

 地デジ放送波を受信するだけで計測でき、新たな送信機などは不要。分解能が高く、1秒―30秒ごとに水蒸気量を観測できる。最も水蒸気の多い地表付近を水平方向に観測するため、既存の鉛直方向の観測手法を補える。

 水蒸気量の推定値を天気予報の数値予報モデルに導入して解析すれば、ゲリラ豪雨など都市部の局所的な気象現象の予測精度の向上につながる。今後、関東地域を中心とした実利用に向けた実証実験を行う。
開発した計測システム(情通機構提供)

日刊工業新聞2017年3月16日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
雨の元になる水蒸気の量は、気象予報にとって重要な情報だが、レーダーなどでは観測できないため、広い範囲にわたって効果的に観測する手法が限られていた。

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