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高専発!地元の乳酸菌で“オール那須”なチーズを

栃木県北部の企業・団体と連携、ブランド製品化
高専発!地元の乳酸菌で“オール那須”なチーズを

漬物の乳酸菌を使ったチーズ

【宇都宮】小山工業高等専門学校(栃木県小山市)は、栃木県那須町など県北部の酪農家ら約10社・団体と連携し、日本酒やワイン、漬物など地域特産品由来の乳酸菌を使ったナチュラルチーズを開発する。食に対し自然派志向などの関心が強まっており、2年以内の製品化を目指す。数量限定や季節限定で、通信・店頭販売する。“オール那須”でさまざまな風味を醸し出す新たなチーズブランドを確立する。

 チーズは海外から輸入した乳酸菌を生乳に掛け合わせて作ることが多く、地域産としての特徴づけなどが難しい。そのため、漬物などの農産物や特産品から抽出した各種乳酸菌を、那須地域の酪農家が手がける生乳と掛け合わせ、他のチーズと差別化する。開発では那須高原今牧場チーズ工房、栃木県那須農業振興事務所など「那須ナチュラルチーズ研究会」(落合一彦会長=チーズ工房那須の森社長)のメンバー約10社・団体が連携する。

 栃木県は日本酒だけでも40程度の酒蔵があるなど地酒や地ワインが豊富。これらの酵母などを生かし、ワインや日本酒風味のチーズなども作れる。チーズは酒のつまみに適しているとされ、ワインや日本酒風味であれば存在感も強まると期待する。

 乳酸菌の探索、選別など技術指導にあたる小山高専物質工学科の高屋朋彰助教は「酪農家以外の周囲も巻き込み、地域活性化につなげる」と意気込む。

 今後は実証試験などに取り組み、高付加価値化に向けて腸管吸着性などの機能性評価も検討する。栃木県は北海道に次ぎ生乳生産量が本州1位の畜産県であり、6次産業化による消費拡大を図り、酪農家の収益改善につなげる。
日刊工業新聞2017年3月9日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
先日、同じように地元で採取した糀菌を使った製品開発をしている静岡県の高校を取材しました。いままで使われていなかった資源を掘り起こし活用するのには「若い目」が向いているのかもしれません。

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