ニュースイッチ

IoT人材が競争力を左右。三菱電機は100人規模で大丈夫か

2020年めど。専門的で多様な製品やサービスを多く抱える
IoT人材が競争力を左右。三菱電機は100人規模で大丈夫か

三菱電機公式ホームページより

 三菱電機は2020年度までに、IoT(モノのインターネット)人材を100人規模育成する。IoTを使って異なる複数製品を組み合わせ、関連サービスを含めてセット提案できる人材を確保する。ビルの省エネルギー化や自動車の先進運転支援システム(ADAS)などIoTの応用が進む分野で競争力を確保する。複数製品のセット提供事業を早期に売上高1000億円規模に育てる。

 三菱電機は「トータルソリューションエンジニア(TSE)」としてIoTを提案できる人材を育成する。例えば空調やセキュリティー機器、エレベーターなどをビルに一括提供し、これらをIoT技術で最適制御して省エネにつなげるサービスなどを展開する。「2017年度からセット提供ビジネスを本格化する」(柵山正樹社長)方針だ。

 TSEは、空調やスマートメーター(通信機能付き電力量計)、発電機、エレベーターなどの機器をそれぞれ手がける7事業本部から候補者を選抜。多様な機器やITの知識を教える。顧客との対話スキルやシステムインテグレーション、プロジェクト管理といったテーマでも教育する。

 実際のビジネス現場での研修も行い、2年間かけてTSEに育てる。20年度までに100人規模とし、各事業部門の新規事業担当者のうち1割をTSEが占めるようにする。

 三菱電機は宇宙関連から家電まで幅広い製品がある。これらの製品を組み合わせ、シナジー(相乗効果)をどう創出するかが経営課題だった。

 電機業界ではIoT人材を育成する取り組みが活発化。日立製作所は顧客との対話力や顧客の課題解決を図るソリューション力の強化を目的とした特別研修を実施し、IoT事業の中核を担う人材を約150人育成した。
                

工場用IT活用基盤構築へ。アプリ開発オープン化


 三菱電機は6日、第三者企業がアプリケーションソフトウエアを開発できる工場用のIT活用基盤を構築すると発表した。工場自動化(FA)機器とITの融合を促し、顧客を製造革新に導くことが狙い。開発をオープン化することで、アプリの多様性を確保する。製造業のIoT(モノのインターネット)化を可能にする基盤として、年内の実用化を目指す。

 今回構築するのは、第三者企業が参加できるオープン基盤。ソフト開発企業などが専用サイトから自由に開発環境をダウンロードし、アプリを製品化できるようにする。サイト開設は4月以降の予定。

 ユーザーは利用することで生産データを収集、分析するシステムなどを短期間で構築できるようになる。三菱電機製FA機器のほか、他社の設備のデータも収集可能にする。

 漆間啓常務執行役FAシステム事業本部長はオープン化の理由について「多種多様な業種や工程に対応するには、豊富なアプリが必要」としている。
『スマートファクトリーJapan』
 製造現場や生産管理の先進化や効率化を目指す「スマートファクトリーJapan 2017」を2017年6月7日(水)〜9日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した生産管理・システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。

 また、昨年まで「クラウドコミュニティ」という名称でセミナーセッションを中心に企画展を実施してまいりましたが、時代の潮流に合わせてID獲得型フォーラムとして「IoT・AI Innovation Forum」を同時開催いたします。
【出展者募集中】
日刊工業新聞2017年3月6日/7日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
外部からの大規模なIoT人材の採用をアナウンスしていた日本電産やダイキン、その一方で日立に続き、三菱電機もIoT人材を社内育成でIoT人材化するという。自社の専門的な設備や機器が多いため、それにサービスをセットして販売しようとすると内部人材で育てざるを得ないが、100人くらいの規模で果たして間に合うのかが心配されるところだ。広範に渡るスキルが要求されるため、一般的には市場にもあまり多くは存在しないため、育成せざるを得ないのも理解できるが、幅広な取り組みを行おうとすればするほど、人数不足に陥ってしまう。領域を絞りながら複数年にわたって徐々に強化していくことが必要とされる。

編集部のおすすめ