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2017年度 自治体予算のポイント教えます《#10》

札幌市、堺市、福山市
**【札幌市】IT・医療誘致を加速 補助など予算倍増
 札幌市はITや医療など強みを生かした企業誘致活動を加速する。2017年度当初予算案で企業立地に関して前年度の約2倍に予算を増やしたほか、新たに情報通信技術(ICT)を推進する事業などを設ける。

 札幌市はコールセンターなどの立地促進や、ITやバイオなどの研究開発拠点誘致などに力を入れている。2017年度の企業立地促進の当初予算案は、ニプロが16年に札幌市内で建設した再生医療研究開発センターに対する補助金を含め、15億円を見込む。16年度は7億9300万円だった。この実績を生かし、さらなる医療関連企業の誘致も推進していく考え。

 17年度は医療やITを生かした事業も新設する。「医療関連産業集積促進事業」では産業界や大学などと連携し、フォーラムを開催するほか、未公開の研究シーズと地元企業のマッチングなどにも取り組む。情報通信関連では、官民が保有するビッグデータなどを収集・管理するシステムや体制づくりに取り組む「札幌市ICT活用戦略推進事業」を始める。IoT(モノのインターネット)など先端技術を活用し、安心して健やかに暮らせる街を目指す「IoT推進コンソーシアム事業」なども計画する。

【堺市】ニュータウン再生へ起業支援


 堺市は20日、大手企業との協業やIoT(モノのインターネット)導入、健康・医療産業参入に取り組む中小企業支援を盛り込んだ2017年度当初予算案を発表した。約5000万円を充て、取引商談会や技術セミナー、IoTを活用するモノづくりのアドバイス、健康・医療産業の研究会設置などを実施する。革新的な製品・技術創出や生産性向上、販路開拓に結びつける。

 大規模住宅開発地域の泉北ニュータウン再生のため「泉北ニュータウン起業支援事業」にも取り組む。地域密着ビジネスで起業を試みる住民が増えるよう起業セミナー開催や、ネットワーク化、情報発信でサポートする。

 一般会計は16年度当初予算案比7・7%増の4151億円。

【福山市】企業立地促進に1億円強


 広島県福山市は20日、企業立地促進に2016年度比1000万円増の1億600万円を計上する17年度当初予算案を発表した。市内で16年12月開設した中小事業者の課題解決などに取り組む「福山ビジネスサポートセンター(フクビズ)」の運営には6500万円を充てる。中小企業支援員は1人増やし2人体制にする。

 一般会計は前年度比1・0%減の1643億円。16年9月に就任した枝広直幹市長は中心市街地活性化にも取り組む考えで、JR福山駅前の再生に向けたまちづくりビジョン策定などに2900万円を新たに盛り込んだ。

《#09》大阪府、福岡県、福岡市、相模原市
《#08》神戸市、京都府、大分県
《#07》大阪市、石川県、佐賀県
《#06》兵庫県、岡山県、北九州市、山形県
《#05》名古屋市、埼玉県、和歌山県
《#04》広島県、三重県、千葉市、宇都宮市
《#03》愛知県、静岡県、栃木県
《#02》神奈川県、長野県、沖縄県
《#01》千葉県、群馬県、横浜市、川崎市、さいたま市、静岡市
日刊工業新聞2017年2月21日
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
札幌市の企業誘致。中核となる企業の立地は誘致活動の大きな追い風なので、ここで勢いをつけていくのでしょう。

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