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2017年度 自治体予算のポイント教えます《#04》

広島県、三重県、千葉市、宇都宮市
2017年度 自治体予算のポイント教えます《#04》

伊勢志摩サミット

**【広島県】スパコン活用促進事業を柱に
広島県は13日、イノベーション創出や新規創業の促進などを柱とする2017年度当初予算案を発表した。商工労働局関連の新規事業では、スーパーコンピューターの活用促進やサービス産業の高度化支援などを盛り込んだ。

 ひろしま産業振興機構が整備運営するスーパーコンピューターの活用促進に新たに2500万円を計上。またサービス産業の生産性向上支援として1000万円を新規計上し、ビッグデータ利活用の研究などを進める。

 人材交流の促進も柱の一つで、16年度補正で新規計上し、3月に広島市中区に開設する常設の「交流の場」の運営を通じ、イノベーションや新規事業の創出を支援する。

 商工費は前年度当初予算比1・7%増の457億7513万円。一般会計は同2・8%減の9779億3000万円で、4年ぶりに減少する。

【三重県】MICE誘致 ポストサミット1億円基金


三重県は2016年5月に開催された伊勢志摩サミットの効果を最大限に生かすため、ポストサミットに重点を置く事業を盛り込んだ17年度当初予算案を策定した。1億円の伊勢志摩サミット基金を設けMICE(国際会議、展示会、視察研修)の誘致活動、インバウンド(訪日外国人)の誘客、同県の食材などをPRする。

 産業振興では商工費として99億円を計上。中小企業の設備投資や国内外からの企業誘致を支援する。大地震や津波の発生に備え、四日市コンビナートの企業群の事業継続計画(BCP)の強化をバックアップする。一般会計は前年度比4・8%減の7011億円と5年ぶりのマイナス。

【千葉市】立地促進に8.5億円


千葉市は13日、企業立地促進に8億5904万円を計上した2017年度当初予算案を発表した。新規立地や追加投資にかかる経費を助成する。また、明治大学誉田農場跡地(千葉市緑区)で進める、民間活力による産業用地造成にかかる周辺インフラ整備に1400万円を計上。10億円を上限に債務負担行為を設定した。

 商工関連は前年度当初予算案比4・3%減の363億1500万円を計上した。中小企業金融対策での融資制度を見直し、企業の成長支援に重点を置く。店舗創業時の賃料などを助成する商業者創業支援事業を新設するほか、産学共同研究への助成件数を増やす。

 また、中心市街地の再開発促進のため千葉駅東口再開発ビル整備に4億8900万円を助成。駅周辺の活性化推進事業にも1億3900万円を計上する。

 一般会計は同10・3%増の4415億円。過去最大だが、県費負担教職員の給与負担等移譲が要因。

【宇都宮市】産業と観光振興で大谷地域を整備


宇都宮市は古くから外壁の建材として使われている「大谷石」の産地である市内大谷地域を産業・観光一体で振興する。4月に経済部産業政策課の大谷地域振興グループを「大谷振興室」に昇格させる。大谷石採取場跡地にある地下冷熱の活用を促すほか、地下空間の安全な観光利用などを推進する。2017年度当初予算案に、同地域の産業振興で1700万円を盛り込んだ。

 宇都宮市の17年度当初予算案の一般会計は前年度比1・9%減の2015億円。2年連続の2000億円台となった。


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日刊工業新聞2017年2月14日
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
三重県のポストサミット施策は気になります。サミット効果を、どう生かしていくか注目したいです。

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