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急げ!自動ブレーキの国際基準作り。日本主導で先手

国交省、1-2年めど
急げ!自動ブレーキの国際基準作り。日本主導で先手

今年のCESに出展した三菱電機の三菱電機の運転者支援システム

 国土交通省は乗用車などへの自動ブレーキの搭載義務化を視野に、国際基準づくりに乗り出す。9月に国連で設置される自動ブレーキの基準づくりの検討会議に参画し、国際基準を国内に導入する考え。将来の自動ブレーキの導入義務化への環境を整える。会議では日本が基準づくりを主導的に進め、日本メーカーにとって有利な環境づくりをしていく意向だ。

 国交省は1月末、国連の自動車の基準に関する会議「自動車基準調和世界フォーラム」の下部組織で、自動ブレーキの基準づくりに関する検討会議の設置を提案。ドイツ、イタリア、英国などが賛成しており、9月の国連の会合で正式に承認される。

 自動ブレーキの基準づくりの対象となるのは、乗用車と軽トラック。9月までに定義や技術的な項目といった検討項目を固める。具体的な基準が決まるには1―2年はかかるとみられる。

 国内を対象にした15年の調査では、自動ブレーキ搭載車は搭載していない車に比べ、対車への事故が70%減、対人への事故が33%減の効果がある。新車への搭載状況は約45%。頻発する高齢運転者の死亡事故の抑制に効果があるとされている。

 日本は国連の会議で自動ブレーキの基準づくりをリードして、国内メーカーに有利な基準内容にする考え。欧州と連携して基準づくりを進める。一方、米国では米運輸当局と自動車メーカーが2022年までに、自動車に自動ブレーキを標準装備することで合意した。
日刊工業新聞2017年2月3日
安東泰志
安東泰志 Ando Yasushi ニューホライズンキャピタル 会長
世界に先駆けて高齢化社会を迎える日本においては、自動運転車もさることながら、まずは衝突防止機能の義務化が焦眉の急だろう。2年もかけず、早期に国際標準化を図った上、義務化を果たしたい。もちろん日本が標準化を主導すれば関連業界へのメリットも大きい。

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