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日本航空電子、車載向け曲面タッチパネル量産

大手自動車メーカーから受注
日本航空電子、車載向け曲面タッチパネル量産

今夏から量産を始める車載向け曲面タッチパネル

 日本航空電子工業は2017年夏をめどに車載向け曲面タッチパネルの量産を始める。光が反射しても見やすい高感度のパネル用フィルムセンサーを開発、すでに大手自動車メーカーから受注した。昭島事業所(東京都昭島市)で生産する。既存製品のラインアップも拡充。これらの新製品投入などでパネル事業の売上高を20年度までに15年度比約20%増の100億円に引き上げる方針だ。

 車載用静電タッチパネルは同社のパネル事業の主力製品で、世界トップシェアを誇る。近年、車載用パネルは扱う情報量が増え、大型化が進んでいる。自動車の平面部分はそれほど多くなく、パネルの大型化には曲面化が必須になる。

 競合他社も大型化の対応を進めているが、さまざまな角度から見た場合の視認性の低下や光で反射して見えないなどの課題があった。日本航空電子は酸化インジウムスズ(ITO)を使わない高感度のフィルムセンサーを開発。17年夏までにフィルムセンサーの生産体制を整え、同センサーを用いた車載用曲面タッチパネルの量産を始める。

 車載用タッチパネルは後部座席をはじめ、これまでとは異なる場所に設置され、1台当たりの採用数が増えている。同社は後部座席周辺やドアなど設置場所に合わせて、違和感のないデザインを提案していく。

 曲面化と並行して既存製品のラインアップも、2倍に増やす。17年3月までに制御回路を付けない安価なタイプや全面透明タイプなどを加える計画だ。

日刊工業新聞2017年1月9日



パナソニックは業界初で先行


 パナソニックは車載用「静電容量方式曲面タッチパネル=イメージ」を開発し、今秋から量産する。運転席まわりのデザインやカーナビなどの操作性を高めたい自動車メーカーのニーズに応える。デザインの自由度向上、手袋で操作可能な高感度と位置精度、高い視認性・耐久性を兼ね備えたのが特徴。国内外の複数社から引き合いがあり、2015―16年の日本メーカー新型車から供給する。

 車載向け曲面タッチパネル量産は業界初とみられる。開発したのは、樹脂製カバーパネルと高感度フィルムセンサー一体型の曲面タッチパネル。画面サイズ5―16インチで、R(曲率半径)250ミリメートルの急な曲面まで対応。曲面は内向き、外向きの両形状にできる。

 タッチ操作が一般的なカーナビやディスプレーオーディオに加え、インストルメントパネルやセンターコンソールで採用を狙う。

 カバーパネルは樹脂の分子配向を均一にし、欧米に多い偏光サングラス装着時でも全色きれいにみせる技術を導入。独自電極パターン設計とセンシング制御で感度も高めた。曲面カバーパネルとフィルムセンサーの積層時に、気泡をなくす真空貼り合わせ工法も編み出した。

 パナソニックはタッチパネル事業でスマートフォン向けなどを扱うが、高成長・安定受注が見込める車載用も強化中。静電容量方式の15年度車載向け割合は、6割(13年度は1割)に増える見込み。同事業では曲面型の投入を含む車載向けを強化し、14年度売上高約100億円を19年度に2―3倍に伸ばす計画だ。

日刊工業新聞2015年8月6日

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
まだまだ市場規模は大きくないが曲面はまだこれから伸びていきそう。

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