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みずほフィナンシャル社長が算段するコスト削減の“金塊"

佐藤康博社長に聞く。「(ブロックチェーンは)把握している数字の10倍にもなりうる」
みずほフィナンシャル社長が算段するコスト削減の“金塊"

みずほフィナンシャルグループの佐藤社長

 ―市場環境の懸念材料は。
 「米国の金利の急激な上昇が大きな不確定要素だ。トランプ次期米大統領の就任以降、(金利上昇が)どうなるのか。ドルの調達コストや日本の金利も上昇するかなど金融機関の収益や顧客への影響が大きい。ベストケースとワーストケースに幅がある年になりそうだ。特に1月から3月は見通しにくい」

 ―2018年度を最終年度とする中期経営計画で15年度比500億円に設定したコスト削減幅の上積みを見込んでいます。
 「16年4月に(カンパニー長が粗利ではなく、当期利益に責任を持つ)カンパニー制を導入した効果で、600億円は見えている。それとは別にコスト構造に、もっと大きな塊がある」

 ―大きな塊とは。
 「(共通業務をグループで集約可能になる)銀行法改正、(運用コストが低減できる)ブロックチェーンなどのテクノロジー、店舗形態の見直しの三つだ。この『三本の矢』が銀行のコスト構造を大きく変えられるのは明らかだ。これらの要素をビジネスモデルとして取り込んだ金融機関が財務面でも圧倒的に優位になる世界が見え始めている」

 ―17年前半に人工知能(AI)で審査する個人融資を始めます。
 「スマートフォンで手続きが完結して、店舗を持たないため、店舗費はゼロ。人手もかけないので、金利などの条件も良い。(競合の消費者金融業者は)多くの拠点と人を抱えている」

 「(スマートフォンなどIT活用で)店舗政策も変わる。資産運用や相続は対面型、送金や決済などは非対面型に別れていくだろう」

 ―とはいえ、旧態依然とした銀行の店舗が本当に変わりますか。
 「一度に変化しないが、5年くらいの期間で変わっていくだろう。17年度から効率性を高めるために、地域ごとに店舗形態を見直していきたい。多くの人は店舗に行く頻度が減っている。顧客にとっての店舗の価値は以前よりも下がっている。危機ではあるがチャンスでもある。それを社内に浸透させるのが経営者の力量だ」
(聞き手=栗下直也)
日刊工業新聞2017年1月6日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
「楽しみな年が2、3年続く」と佐藤社長は興奮を隠さない。ブロックチェーンのコスト削減効果は「把握している数字の10倍にもなりうる」と語る。AIを活用した融資事業も「化ける」可能性を否定しない。矢継ぎ早に課題や新事業に取り組む姿勢は大手銀の中で際立つ。「銀行像」を塗り替える強い意志を感じた。

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