リサイクルは企業にとって「コスト」か「新しい価値」か

トランプ政権で環境問題後退が懸念される中、エプソンやユニ・チャームの挑戦

セイコーエプソンのオフィス製紙機「ペーパーラボ A―8000」。コピー用紙を再生する

 新たな資源再生技術が相次いで開発されている。いずれも環境貢献にとどまらないニーズに着目することで、新たな市場を獲得しようとしている。  セイコーエプソンはオフィスで古紙から再生紙を作る装置を昨年12月に発売した。印刷された紙を繊維に分解し、インク成分を除去して白紙に戻す。所要は3分間程度。水や漂白剤を使わず、熱を加えないためオフィスに設置でき、古紙を原料とした製紙より省エネだ。1台2000万円と高価だが、15社・団体が導入を検討中という。  またユニ・チャームは、紙おむつ原料を再生する技術の実証を始めた。使用済み紙おむつから取り出したパルプを殺菌し、再生する。菌が消滅するので、パルプを新品の紙おむつに再利用できる。  これまでのリサイクル技術は社会や環境に貢献する意味で採用されることが多かった。しかしエプソンやユニ・チャームの場合、環境以外の価値を提供することに特徴がある。  エプソンの装置は情報漏えい対策をうたう。シュレッダー処理した文書は繊維が細分化されて丈夫な紙に戻せない。企業は産業廃棄物として業者に引き取ってもらうしかないが、機密文書だと粉々の紙であっても社外への持ち出しに不安が残る。オフィスで再生ができれば、こうした懸念がなくなる。  紙おむつも普通は焼却処分しかない。家庭ゴミの10%近くが紙おむつという自治体もあり、高齢者が増えるとその割合は高まる。ユニ・チャームの技術は、紙おむつの処理費用を軽減するためのものだ。  2社とも自治体と組んで新技術を開発した点も特徴的だ。エプソンは装置を開発段階から長野県塩尻市に使ってもらった。ユニ・チャームは鹿児島県志布志市の協力を得て回収から再資源化までを実証し、事業化を目指している。  資源のリサイクル技術を開発しても、採算にのらずに事業化を断念したケースは少なくない。今までと違ったアプローチで、市場性を確認しつつ開発を進める手法に学びたい。  エプソンの事例は、古紙回収をするために動かしていた大きな仕組みのループを、それぞれのオフィス単位で回す小さなループへの転換を作ったことによって、情報漏洩という新しい付加価値を生んでいる。  ユニ・チャームの事例は、今まで使用済み紙おむつは衛生上の危険性があったが、その問題を解決することで、リサイクルにつなげることができた。付加価値開発から、リサイクルのループを生み出すことに成功している。

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