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京セラの調達から見えてくるリチウムイオン電池の相関図

業界最小の蓄電池を一般にも発売。ゼロエネ住宅に提案
 京セラ積水化学工業の住宅へ採用が決まった新型蓄電池を、2017年4月から工務店などの一般向けにも発売する。家庭の1日分の電力を賄える12キロワット時を充電できる蓄電池としては業界最小で、京セラの従来品に比べても半減した。エネルギーの自給自足や年間のエネ収支をゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を目指す住宅向けに太陽光発電とセットで提案し、蓄電池の需要を掘り起こす。

 京セラが販売する新型蓄電池は、積水化学が開発したフィルム型リチウムイオン二次電池を搭載した。積水化学が15年に子会社化したエナックス(東京都文京区)の中部事業所(愛知県常滑市)で電池を製造し、京セラがパワーコンディショナー(電力調整装置)と組み合わせてシステム化する。

 京セラは電池のエネルギー密度は明らかにしていないが、電気を多く蓄えられる材料の採用などで小型化できた。これまで12キロワット時の蓄電池だと大型になるので、設置は屋外だった。新型蓄電池は室内の階段下に収まる程度に小型化した。

 積水化学は新型蓄電池と太陽光発電を搭載し、電気購入をゼロにできる住宅を1月2日に売り出す。蓄電池として初めて充電容量の低下を20年間保証。

 太陽光などで創ったエネで消費するエネを打ち消すZEHを標準化する政府方針があり、積水化学以外の住宅にも大容量・小型の新型蓄電池の需要が見込まれる。京セラは住宅用蓄電池の販売実績で、国内トップ級という。16年度は1万台の販売を目指している。
日刊工業新聞2016年12月27日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
京セラは、ニチコンからリチウムイオン電池の供給を受けています。その電池は世界最大手のサムスン製です。新発売する蓄電池は積水化学のまったく新しいリチウムイオン電池です。その電池を製造するエナックスは、ソニーのリチウムイオン電池技術の源流の企業です。京セラを中心を置くと、バラエティに富むリチウムイオンの技術が集まっているように思えます。

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