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他車からの乗り換えが全受注の半数超え。インプレッサはなぜ強い

弱点だったデザインを克服、ダイナミックな躍動感を実現
**スバル商品企画本部プロジェクトゼネラルマネージャー・阿部一博氏
 5年ぶりの全面改良で、新規開発した共通プラットフォーム(車台)を採用した第1弾モデル。単なる全面改良の領域を超え、安全性と走りの両面で他銘柄を圧倒する次世代スバル車の基盤となる商品と位置づけ開発に臨んだ。

 主戦場の米国で絶対に成功し、日本でも確実に受け入れられる車づくりを目指し、アウトドアやスポーツなど趣味を楽しみ頻繁に車で外出する「ライフアクティブ層」に照準を定めた。独フォルクスワーゲンの「ゴルフ」、マツダの「アクセラ」など競合車との競争が激しくなる中、商品力で圧倒的な差別化を図るには車台の刷新が欠かせないと判断した。

 新車台「スバルグローバルプラットフォーム」の採用により、車体強度を高めるとともに生産技術部門と緊密に連携し、スタビライザーを車体に直づけするといった工夫を積み重ねて車体のブレや振動を抑えた。

 安全性と乗り心地が格段に向上した。これまで蓄積した技術ノウハウに加え、1000分の1秒単位で車の挙動を計測できる装置を導入し図面に反映。性能を底上げする納得のいく車台開発につながった。

 内外装のデザインや質感にも徹底的にこだわった。というのも「実用的でいい車だけど、この見た目や質感だとちょっと―」と顧客がデザインに納得せず、最終的に競合の欧州車を購入してしまう事例があったからだ。

 弱点を克服すべく今回は、デザインの自由度を高めるために全幅を広げ、デザイナーのクリエイティビティーを存分に発揮できるようにし、ダイナミックな躍動感などデザイン性の向上につなげた。新型インプレッサに他銘柄から乗り換える方が増えている背景の一つになっていると思う。

 今回からインプレッサでは初めて群馬製作所(群馬県太田市)、米国工場(インディアナ州)の日米両拠点でほぼ同時期に生産を開始した。主戦場の米国と日本のお客さまにどうしても“旬の車”を同時期に届けたかったからだ。

 これまでにない難しい条件下での生産立ち上げだったが、今まで以上の品質で生産をスタートできた。
日刊工業新聞2016年12月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
新車台を採用した次世代スバル車のトップバッターを飾った第5世代目のインプレッサ。安全性と走行性能の進化を支持する声は多く、他銘柄から乗り換えた新規ユーザーが全受注の半数を超えたという。勢いをキープし、旺盛な需要に応えるためには生産体制やアフターサービスの強化も必要。あらゆる面でスバル車の今後を行方を占う重要なモデルといえる。 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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