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スケボーとモーターを合体。電動化で変わる乗り物づくり

長岡技科大発ベンチャーが来年発売へ
スケボーとモーターを合体。電動化で変わる乗り物づくり

キューボードの試作機に乗るCuboRexの寺嶋さん

 電動バイク製作といった電動技術を使った乗り物づくりへの新規参入が本格化してきた。長岡技術科学大学大学院に通う寺嶋瑞仁さんが3月に設立したベンチャー企業「CuboRex」もその一つ。2017年4月にはクローラー(無限軌道)ロボット技術を活用したスケートボード「キューボード」を発売する。砂利道や水たまりなどの悪路でも走行できる。電動技術はエコだけでなく、楽しさも生み出す。

 キューボードの魅力は悪路でも走行できることと、モーター走行へのスムーズな切り替えが可能なこと。スケボーに取り付けるクローラーは、建設機械や戦車を駆動するいわゆる“キャタピラー”でさまざまな路面状況で走れる。また走り出しと下り坂ではモーター走行しないため、急な加速が起きない安全性も確保。一般価格はスケボー本体に取り付けるクローラーユニットやバッテリーなどのキットで45万円から。

 まずは夏場のスキー場やアウトドア施設を中心に販売を見込む。スキー場では草スキー用に地面に敷くシートを貼り替えているため毎年数百万円かかるという。

 キューボードへの変更でシート費用が不要になり、コスト削減効果を見込める。CuboRexは発売に向け、6日からクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で資金を募る。

 キューボードの発進は普通のスケボーと同様に足で蹴り出して加速する。クローラーベルトの回転数が落ちてモーターの回転数と同じになると、ベルトとモーターが接続して切り替わる仕組み。スピードが同じ状態で切り替わるため、ショックが少ない。下り坂ではモーターよりもベルトの回転が速くなり、接続が切れる。

 基本的な仕組みは自転車と同じ。下り坂でペダルをこいでも空転するのは、タイヤの回転が速いため接続が切れてペダルからの力がタイヤに伝わらないため。「この機械的な接続は、他ではまねできない」(寺嶋さん)と自信を語る。

 同社には農業支援ロボットや、ドローン(飛行ロボット)と連携するロボットなどの開発の声もかかっているという。

 最近では、UPQ(東京都文京区)の折り畳み電動バイクや、デザイナーの根津孝太氏らが発売した大型電動バイクなど個性的な電動の乗り物が増えており、今後もこうした動きは広がりそうだ。
(文=梶原洵子)
【製品データ】
●製品名 Cuboard(キューボード)
●最高速度 時速15km
●バッテリー走行時間 60分
●重さ 9kg
●耐荷重 80kg以下
日刊工業新聞2016年12月6日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
とても面白いと思うが個人で楽しむにはちと高い。BツーB用途で活用の道はないものか。

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