アップルも独自ブランド終了。しぶとく生き残るデスクトップモニター

IoTにより役割に変化も

 デスクトップモニター市場は2010年以降、右肩下がりが続いている。モニターの接続先であるパソコン市場の縮小が止まらないことが主な要因だ。だが最近は下げ止まり感が見えるなど、様相が変わってきている。価格の下落に伴い、作業効率を求める層が複数のモニターを使うようになったほか、デスクトップ型だけでなくノートパソコンにつなぐ事例が増えたことなどが背景にある。  15年頃から付加価値を向上し差別化を図る流れが強まっている。3大要素は狭額縁、高解像度、映像インターフェースの多様化だ。モニターの本分である「より多くの情報を正確に大きく映すこと」を目指した結果、画面の小さいノートパソコンにモニターを接続することが増えた。  今後スマートフォンやタブレット端末などにつなぐ機会も増えるだろう。パネルの素材について分析すると、昨今話題の有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーは、映像の焼き付きが課題。静止画の表示が多いデスクトップモニターでは、当面、液晶からの変更は起こらないとみている。  モニター向け液晶パネルで主要なティア1は韓国LGディスプレイ、同サムスンディスプレイ、台湾AUO、同イノラックスの4社。完成品メーカーでは米デル、米HP、中国レノボ、韓国サムスン電子のシェアが高い。  今後は中国メーカーがモニター用液晶パネル市場に参入してくるだろう。ただモニターにおける画面品質要求レベルはテレビ以上に高い。中国勢はノウハウが不足しており、当面は中国の内需向けがメーンになるだろう。  近い時期に大きな業界再編はなさそうだが、シェアの順位には異変が起きそうだ。1位だったサムスン勢は経営資源をパブリックディスプレーなどに振り向けており、シェアは右肩下がり。製品数を減らして効率化を進めている。  米アップルも独自ブランドのモニター販売を終了し、LG電子が自社ブランドで専用モニターを提供する方針だ。中国市場で安価な製品を中心に展開するレノボや台湾AOCは、世界市場では差別化に苦戦してシェアを落としている。  今後、技術力の高いティア1がシェアを伸ばし、それ以外が落ちる優勝劣敗が鮮明になりそうだ。パソコンを製品ラインアップに持たないティア2は、ジリ貧の状況だ。最後は販売力と高付加価値を持つ数社に集約されるのではないか。  データをありのままに映すモニターのニーズは、この二十数年変わっていない。再成長するとは言い切れないが、新たなデバイスと接続して情報を映し出せるようになれば、潜在力は十分にあるとみている。  IoT(モノのインターネット)が進展する状況では「新たな端末とつながるチャンス」が市場再生を左右しそうだ。デスクトップモニターは単なるデスクトップパソコン用の画面から脱却し、存在意義を変えつつある。 (文=氷室英利・IHSテクノロジーディレクター)

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