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ハンドルなしでも運転手がいなくとも、自動運転車で公道走行実験OK

シリコンバレーに対抗、ミシガン州が全米で初めて法制化
ハンドルなしでも運転手がいなくとも、自動運転車で公道走行実験OK

企業が自動運転車の走行実験に活用しているミシガン大学の実験施設「Mシティー」

 米ミシガン州で全米50州としては初めて、自動運転車について路上走行実験から利用、販売までカバーする包括的な規制を盛り込んだ州法が成立した。同州のリック・シュナイダー知事が9日、法律に署名した。ハンドルやブレーキペダルがない自動運転車や、人間の搭乗者がフロントシートにいない場合でも公道走行実験を許可するなど、自動運転の事業化を狙う企業に寛大な制度となっている。

 ハンドルもペダルもなく、運転手を必要としない自動運転車については、グーグルが実用化を進めているほか、フォードも完全自動運転車を2021年までに実用化する予定でいる。ミシガン州は新制度に基づき、自動車会社やIT企業が自動運転車をライドシェアサービスに利用したり、複数の車両が隊列を組んで走行したりする場合でも認可する方針だという。

 最近ではグーグルはじめテクノロジー企業の集積するシリコンバレーが自動運転車開発のメッカとなりつつある。そうした中、自動車産業の中心地デトロイトを抱えるミシガン州としては、自動運転車の事業化を計画する企業の意向を取り入れた法制度により、この分野での地位奪還を果たす考えだ。

 米国ではミシガンを含め、カリフォルニア、ネバダ、テネシー、フロリダの5州と首都で特別区のワシントンDCが自動運転車についての法制化を実施済み。ウーバーが自動運転の実験拠点とするピッツバーグではペンシルベニア州が制度づくりを進めている。

 ただ、州ごとに法制度が異なるのは、自動運転の事業者にとっても利用者にとっても使い勝手が良くない。そのため、フォードやグーグル、ウーバーなどが参画する「より安全な道路のための自動運転連合」は、「各州は道路安全で重要な役割を担っているが、州ごとにパッチワークにならないよう、全国レベルでの法的な枠組みを提供すべきだ」との声明を出し、統一的な法制度について連邦政府のリーダーシップを求めている。
2016年12月11日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
自動運転車の開発や公道実験、およびその後立ち上がってくる産業を州経済に取り込もうと、米国の州ごとの競争が激しくなってきています。「運転席には必ず人間が座っていなければいけない」とドラフト案で規定していたカリフォルニア州も、度重なるグーグルからの批判に制度の見直しを行い、人間と車との間で双方向の通信が確保されている場合には条件付きで公道走行を認める方向だそうです。

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