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ICカード1枚で観光・宿泊OK!これで訪日客は便利になる?

総務省が来春から実証。パスポート情報を呼び出し手続きを効率化
 総務省は、訪日外国人観光客が1枚の交通系ICカードで美術館やホテルを利用できるようにする実証を始める。2017年1―3月に、東京・渋谷や六本木など人気の高い場所を含む首都圏3地区で実施。美術館に入場券の発券・印刷なしで入場したり、ホテルでの宿泊手続きを簡単にしたりする。17年度以降は地方都市でも実施し、東京五輪・パラリンピックが開かれる20年までに各地での普及を目指す。

 実証地区は東京都渋谷区、同港区、千葉市と千葉県成田市。これらの地区合計で約1000人以上を対象に実施する。国立新美術館(東京都港区)や千葉地区の美術館のほか、ホテルオークラ東京(同)などのホテル7カ所程度が参加する。

 ホテルや訪日外国人向けのイベント会場に専用端末を設置し、訪日外国人に性別や国籍といったパスポート情報などを入力してもらう。入力された情報はクラウド基盤に登録し、属性情報をひも付けた交通系ICカードを発行、配布する。

 これにより、美術館で入場券を買わずにICカードで入場できるようにする。館内には作品の前に端末を設置し、ICカードをかざすと利用者の母国語で作品を紹介するシステムを導入する。ホテルでは、チェックイン時にICカードでパスポート情報を呼び出し、手続きを効率化する。

 実証ではこうした仕組みの有効性や事業性、個人情報の取り扱い方などを検証。訪日観光需要を取り込む基盤としながら、日本人にも便利なシステムとして五輪後にも活用できるインフラを目指す。
        
日刊工業新聞2016年11月30日
原直史
原直史 Hara Naofumi
どのような仕組みになるのか、具体的にはこれから詰められるのだろうが、ポイントは「ユーザーが面倒でない」ことだと思う。この記事を見ると、ユーザーが自らパスポートなどの情報をインプットしなければならないようだが、実際には面倒がられるのではないか。ホテルにチェックインしたら、その情報をベースに希望者には自動的にカードが発行されるような簡便さが望まれると思う。

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