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国交省の飛行検査センター、セントレア(中部空港)に新拠点

羽田が老朽化し移転。新格納庫は幅95メートル、 奥行き53メートル、 高さ21メートル
国交省の飛行検査センター、セントレア(中部空港)に新拠点

飛行検査センターの落成・移転記念式典で姿を現す飛行検査機

 国土交通省航空局(JCAB)は5月16日、中部空港(セントレア)に完成した飛行検査センターの格納庫で、落成・移転記念式典を開催した。式典にはうえの賢一郎政務官や田村明比古航空局長、中部国際空港会社の川上博社長ら140人が出席した。

 飛行検査センターは、全国の空港に設置されたILS(計器着陸装置)や管制システム、航空灯火などが正常に機能しているかを、実際に飛行して検査する飛行検査機の新拠点。組織としては今年4月10日、交通管制部の運用課内に発足した。

 これまで飛行検査機は羽田空港を拠点にしていたが、50年以上前に建てられた格納庫など施設が老朽化。同空港内での建て替えが難しいことや、羽田の混雑により、検査したい時間帯に発着枠を確保しにくくなるなど、柔軟な運用が難しくなっていた。

 中部空港は24時間運用で発着の制約が少ない上、羽田にも近い。また、全国の空港の中心に位置することから選ばれた。JCABによると、羽田では飛行検査を年間80日実施しているという。

 現在JCABが保有する飛行検査機は7機。高高度での検査に使用するジェット機は、ガルフストリームIVが2機とボンバルディアBD-700が2機の4機で、離島やジェット機の乗り入れを禁じている空港を検査するターボプロップ機は、サーブ2000が2機とボンバルディアDHC-8-300が1機となっている。

 格納庫は幅95メートル、 奥行き53メートル、 高さ21メートルで、延べ床面積は5125平方メートル。3階建ての事務所(延べ床面積2658平方メートル)が隣接し、センターの総工費は27億円となった。格納機には飛行検査機を4機駐機でき、2機の重整備ができる。太陽光発電や採光窓を多く設けるなど、環境にも配慮した。羽田では格納庫を2つ使い、1つの格納機に2機を向かい合わせて駐機し、手狭だった。

 飛行検査センターの伊藤弘司所長は、「立地を生かした飛行検査を実施していきたい」とあいさつした。

 JCABでは2014年12月、ジェット機4機の後継機として、セスナ・エアクラフト・カンパニーのサイテーションCJ4を3機選定。同機をベースに、ノルウエーのノルウェジアン・スペシャル・ミッション社製飛行検査装置を組み合わせる。10月下旬に引き渡され、検査や訓練などを実施後、12月を目途に置き換えを始める。

 16日の式典では、格納庫内にガルフストリームIVを1機とQ300が展示され、テープカット後に格納庫の扉が開くと、屋外に駐機されたBD-700と2機のサーブ2000が姿を現した。また、Q300は機内が公開された。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
中部空港(セントレア)に国交省の飛行検査機の新拠点「飛行検査センター」が完成。飛行検査機は全国の空港に設置されたILS(計器着陸装置)や管制システム、航空灯火などが正常に機能しているかを、実際に飛行して検査する機体で、これまでは羽田空港を拠点としていました。

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