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京都企業、減収相次ぐも足元は意外と元気

16社の4-9月期業績。電子部品だけではない底力示す
 京都企業の2016年4―9月期は円高により16社のうち12社が前年同期比で減収となった。一方で原料価格の低下や高機能製品の販売により、営業利益が4―9月期の過去最高を記録した企業もある。17年3月期業績予想も明暗が分かれるが、為替影響を除けば業績を伸ばしている企業もあり、実質的には見た目ほど停滞感はないようだ。

 電子部品各社は円高から売上高や各利益段階で厳しさが目立つものの、部品の需要自体は底堅い。通期もスマートフォン向けを中心に販売そのものは堅調に推移する見通しだ。京セラは部品需要が上向きなことに加え、下期に受注が偏る太陽電池事業や通信機器事業の伸びに期待する。村田製作所は主力の積層セラミックコンデンサー(MLCC)が減収となったが数量ベースでは増加している。ロームもLSI関係は円高で低迷したが、カラーセンサーや小型ダイオードなどスマホ向け部品は堅調だ。

 日本電産は減収だったものの、各利益段階で過去最高を更新して好調さを示した。海外の買収企業の業績回復で円高影響をはね返した格好だ。

 電子部品以外でも業績は堅調。島津製作所の4―9月は高採算のハイエンドの計測機器などが好調で、営業利益、当期利益は過去最高。ニチユ三菱フォークリフトも減収ながら各生産拠点での原価低減などで営業増益を確保。三洋化成工業は原料価格下落、販売数量増などで各利益段階が4―9月期では過去最高。宝ホールディングスはソフトアルコールの販売好調などで増収営業増益。通期予想も上方修正した。

 SCREENホールディングスはバッチ式洗浄装置など半導体製造装置事業が好調で通期予想を上方修正。日新電機はフラットパネルディスプレー製造用イオン注入装置や電力設備が好調で通期は売上高、営業利益とも過去最高の見込み。任天堂はスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」のヒットで関連会社からの利益が前年同期比105億円増となり業績を支えた。

 ただ、円高が重くのしかかるところも。オムロンは制御機器、車載、ヘルスケアの各事業でいずれも為替影響を除けば実質増収。ただ通期は売上高、利益とも下方修正した。ニチコンは中国のエアコン向けコンデンサー製品が不振で減収だった。

 ジーエス・ユアサコーポレーションは、パナソニックからの鉛電池事業譲受に伴う連結損益への反映が遅れる影響で通期見通しを下方修正した。日本写真印刷はタッチパネル事業が落ち込み、通期予想は大きく下方修正。ワコールホールディングスは米国で百貨店売り上げが堅調だったが、円換算では前年同期を大きく下回った。

 堀場製作所は16年12月期の半導体システム機器の業績予想を上方修正。ただ全体の予想は変更しなかった。

(文=京都・水田武詞)
日刊工業新聞2016年11月22日
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
この4-9月期の業績は、好調続きだった京都企業もさすがに下振れしたところが多かった。ただ中身をよく見ると実態は決して悪くない。業種によっては上方修正した企業も見られ、電子部品だけではない京都産業の底力を示してもいる。

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